【主張】賃金もスマホ決済の時代

2020.09.24 【社説】
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 厚生労働省は、「資金移動業者」の口座への賃金振込みを可能とする仕組みの検討を開始したという(9月14日号1面に詳細)。紐付け銀行口座からの不正資金流出が大きな社会問題となっているが、賃金の振込口座の対象に設定することとは別問題である。とくに、若い社員にとっては、利便性が向上し喜ばれるだろう。本人の希望に沿うのなら問題はなく、積極的に進めてもらいたい。

 9月に発生した資金移動業者にかかわる不正資金流出事件は、衝撃的だった。賃金振込口座として適正か否かの検討を開始した矢先である。紐付けられた銀行口座からの不正出金ではあるが、資金移動業者自体の信用を大きく損ねたのは間違いない。万全な対策を講じてもらいたい。

 他方で、資金移動業者の口座への賃金振込み自体は、早期に実現すべきである。世界的に遅れているスマートフォンを通じたキャッシュレス決済の拡大にも貢献する。利用の中心となる若者にとっては嬉しい取組みである。

 実際にも、資金移動業者の口座へ直接賃金の振込みが行えるようになった場合、約4割の消費者がそれを検討すると回答しており、ニーズは少なくない。キャッシュレス決済の促進を目的としたポイント還元が広まるなど、競争政策上の観点からも新たな事業者の参入は好ましい。勤労者、消費者にとって有利に働くのは間違いない。

 スマホをはじめとする通信サービスの活用が重要な要素となっている外国人労働者にとっても朗報である。より円滑な口座開設、日常的利用につながれば、日本での生活をサポートできる。

 課題は、資金移動業者が破綻した場合の資金保全である。利用者は、資金移動業者が一定の方法で供託している資産から弁済を受けることができるが、取扱額が週ごとに大きく変動するような場合には、供託額が必ずしも十分とはならないケースがあるという。その場合、債権額に応じて按分した弁済しか受け取れない可能性がある。

 政府が一体となった万全な保証態勢の整備を大前提として欲しい。

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令和2年9月28日第3274号2面 掲載

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