【ひのみやぐら】中小のメンタルヘルス推進へ
「令和6年版厚生労働白書」がまとまった。今年度のテーマは「こころの健康」を取り上げている。こころの健康を損ねる背景にある「ストレス要因」に着目し、現代社会のストレスの多様さについて考察。こころの健康に関する対策や支援の現状、今後の方向性を提示している。
職場での取組みについて白書では、経営戦略の観点から重要性が増しているとしながらも、メンタルヘルスに取り組んでいる割合は、規模が小さいほど低調になっていると指摘。産業保健総合支援センター、地域産業保健センターを通じて、小規模事業場におけるメンタルヘルス対策を引き続き支援することや、商工会、商工会議所などの中小規模事業場を会員とする経営団体が、産業保健サービスを提供できるようにサポートしていくことが望まれるとした。
労働者数50人未満の事業場でメンタルヘルス対策に取り組んでいない理由のトップ3は「該当する労働者がいない」「取組方が分からない」「専門スタッフがいない」となっている。このうち「取組方が分からない」といった悩みを持つ人には「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳」を強く勧めたい。
本誌でも好評連載中なので、サイトの説明は割愛させていただくが、「中小企業の事業主の方へ~メンタルヘルスケアに役立つコンテンツ~」のページがあり、初めてこころの問題に触れる人にも分かりやすく解説している。例えば、メンタルヘルスにまつわる身近な疑問や話題を会話形式で学ぶ「うさぎ商事の休憩室」は、対策の必要性やストレスの対処方法などをテーマにしており、社内で問題意識を高めるきっかけとしてうってつけといえる。
このほかにも「15分で分かるラインケア」「日頃からの部下への声かけ」といったコンテンツも実践的ですぐに職場に生かしやすい。改めてメンタルヘルスの「入門書」として絶好のツールといえる。
メンタルヘルス対策を職場に根付かせるには、実態を見て段階を踏んで取り組むことが肝要だ。着実に足元を固め、いずれは「健康経営」の優良法人認定を目指したい。