【ひのみやぐら】スポーツ心理学を職場に応用

2016.04.08 【社説】

 サッカー観戦が趣味で、ひいきのチームのホームゲームには、ほとんどスタジアムに足を運んでいる。サッカーの醍醐味の一つは、以心伝心の連携プレーだ。相手選手の意表をつくスルーパスが見事エースストライカーにとおったときは、背筋がぞくぞくする思いがする。こうした好プレーは、試合でいきなりできるものではなく、普段からのコミュニケーションがものをいう。

 会社も人間の集団である以上、チームプレーが欠かせない。個人の能力を最大限発揮するには、コミュニケーションを図って、お互いの考えを共有させる必要がある。事前に誤解や不安を取り除くことで、業務がスムーズに回っていくというわけだ。仕事がうまくいけば、当然ストレスの軽減につながっていく。

 今号特集Ⅱでは、慶應義塾大学の永田直也助教に「スポーツメンタルトレーニング」について紹介していただいた。スポーツ選手に必要な心理的な能力を学問で導き出された理論や方法を用いて強化する、計画的で教育的な活動だ。モチベーションを高める能力、緊張度合いをコントロールする能力、集中する能力、コミュニケーション能力などは、先天的に強さが決まるのではなく、トレーニングによって高めることができると永田助教は指摘する。

 チームワークを向上させる取組みとしては、一例として「伝達ゲーム」を紹介している。参加者は2人組みになり、話し手がホワイトボードを向き、もう1人は背中合わせに座る。ホワイトボードを見ている人は、後ろを向いている人にホワイトボードに描かれた図形を正確に伝え、聞いている側の人は、説明のとおりに紙に図形を描くというもの。話し手の指示どおりに図を描くのは難しく、コミュニケーションは言葉だけで成り立っているわけではなく、視線や表情、言葉の抑揚なども重要な要素であることを知る。

 近年は、メールやSNSが身近になりすぎて、ややもすれば隣の席の人でもメールで会話をすると聞く。そこまでとはいわないまでも、コミュニケーションが希薄になっているのは確かだ。職場に応用できるスポーツメンタルトレーニング。実践してみる価値はある。

掲載 : 安全スタッフ 平成28年4月15日 第2256号7頁

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