【ひのみやぐら】災害防止にレジリエンス力

2020.03.10 【社説】
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 近年、産業保健の世界で「レジリエンス」が注目を浴びている。心の病を抱える人が増えるなか、ストレスチェックなどさまざまな角度から、メンタルヘルス不調者を減らす対策が取られている。レジリエンスも官民の取組みが進むなかで、脚光を浴びるようになったといえるだろう。

 もともとレジリエンスは、ストレスとともに物理学の専門用語だそうだ。ストレスは「外力による歪み」を指し、レジリエンスはそれに対して「外力による歪みを跳ね返す力」として使われ始めたという。現在、一般的にレジリエンスという言葉は、「挫折・苦境からの回復力」「弾力性や元に戻るしなやかさ」という意味で理解されている。

 人が困難や環境の変化に打ち勝つのは、決して「強い心」や「精神力」ではない。どんなに新しい職務や難しい局面を迎えても「柔軟な思考」や「しなやかな発想」で理解し、受け入れ、乗り越えるのがレジリエンスだ。メンタルヘルスでいえばストレスフルな状況になったとき、上手に変化に対応することで精神障害の予防につなげたり、早い回復を図るのに重要な役割を担う。

 現在、レジリエンスの考え方を積極的に取り入れているのが、建設業労働災害防止協会だ。平成27年に検討会を設置して、災害防止とメンタルヘルスの相関関係を研究している。建災防では、ストレス反応が高い人や不眠症状にある人はヒヤリハットを体験するリスクが高いという調査結果を導き出した。さらにヒヤリハットを災害の疑似体験であるという負の側面から、災害を直前で回避できた成功事例というレジリエンスの面から捉えている。状況に合わせて判断する力や咄嗟の危険を回避するレジリエンス力を高めることが今後、災害防止を防ぐうえで重要という。

 イギリスの自然科学者、チャールズ・ダーウィンは「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」という名言を残している。この言葉が示すように、刻々と変化する現場に対応する能力が、ストレスや労働災害という困難から身を守る。

2020年3月15日第2350号 掲載

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