【ひのみやぐら】トップが心の健康に理解を

2021.06.28 【社説】
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 「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」が作られたのは昭和63年。その後、国のメンタルヘルス施策がさまざまな経緯を経て充実していった。一方で、中小企業のメンタルヘルス対策は33年の月日が経っても取組みが進んだとは言い難い。管理者、担当者の理解が進んでも一向にトップの意識が変わらないままだという。

 もちろんトップにも、言い分はある。経営そのものにかける労力が大きく、余力もなければ時間もない。結局、関心もないというわけだ。管理者、担当者には「メンタルヘルス対策をすると、売り上げが上がるのか?」という返事が返ってくることが少なくない。

 トップにメンタルヘルス対策を求める場合には、生産性の面から説くことが効果的といえる。メンタルヘルス不調者が現れ、休職となると他の従業員の負担が増え、職場の生産性が下がることはいうまでもない。中小企業は、ギリギリの状態で業務をこなしているのだ。休職でなくとも、不調者は周りの従業員に大きな影響を与える。周囲が精神的に滅入ってしまうことが少なくなく、対応を誤ると不平不満が職場に生まれやすい。

 また、退職となると新たに採用活動が必要になる。専門の採用担当部門がない中小企業では管理者が通常作業と並行して行わなければならない。採用活動にはコストがかかるわけで、会社としても大きなデメリットとなる。退職は不調者だけでない。周囲の従業員が、不調者に対して会社の対応に不信感を持ってしまうと連鎖反応を起こし、その人も退職してしまうことがある。

 一方、メンタルヘルス対策を実施し、職場環境を整えると、従業員に安心感が生まれる。人材定着は経営上大きなメリットがあり、安心して働くことのできる職場づくりは業績向上にも貢献する。

 もっと直接的な話をすれば、健康経営に取り組むと融資の面で優遇措置を受けることもできるという説き方もある。さらに、担当者はいつでもトップがその気になったときのために、信頼を得ておく。

 意識変化というのは大変な作業だ。頭ごなしに訴えるのではなく、上手に誘導していくことも必要だろう。

2021年7月1日第2381号 掲載

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