人手不足への対処が使命/土橋労務管理事務所 土橋 純二郎
昨年末、東京国際フォーラムにおいて天皇皇后両陛下(当時)ご臨席のもと盛大に挙行された「社会保険労務士制度創設50周年記念式典」に参加することができた。
思えば、29歳で開業して以来、還暦近い年齢となった今日に至るまで職業生活の過半を社会保険労務士として過ごすことが許された小生にとって、これほど嬉しく、また誇らしい日はなかったといえる。社会保険労務士会の歴代会長をはじめ先輩の皆さまには感謝の言葉しかないのである。
平成が幕開けとなったばかりの開業当初は、社会保険労務士の地位はおろか知名度などないに等しく、「社会保険労務士って何か試験でもあるの?」、「その程度の資格で会社を辞めるって何か悪いことでもしたの?」、「そんな資格で食べていけるはずがない」など、心ない言葉を浴びせられることしきり、悔しいばかりの日々であった。
年齢が若かったこともあって、社会保険労務士の土橋先生や土橋さんではなく、便利屋の土橋君と呼ばれていたことが今や懐かしく思い起こされるのである。
そして、そこにこそ勝機があった。普通は誰も歩かない細い道に人生を賭けたことで僥倖にあずかることができたと思っている。当時は、社会保険労務士と契約している企業など稀で、その真空地帯を次々とゲーム感覚で顧問先を開拓することによって、いささか快進撃を続けることができたのである。
社会保険労務士制度創設50周年を経て、時代は「令和」へと移った。
かねてよりわが国にとって焦眉の急とされてきた人手不足の問題解決であるが、この問題解決を通じて事業の健全な発達と労働者の福祉の向上に資することが新しい時代を迎えた社会保険労務士の使命の一つではないかと考えている。
そこで、この国難ともいうべき人手不足の問題解決に対して寄与していくため、浅学非才な小生ではあるが、近著「THE PLATINUM COMPANY―100の処方箋で人手不足を乗り越えて―」(風詠社)を上梓した次第である。
人手不足を一つの背景とする働き方改革の推進、AI(人工知能)、女性、高齢者、LGBTおよび外国人の活用など立ちはだかる今日的諸課題と真正面から向き合い、それぞれ問題解決の道を鋭角的に指し示していくことが「令和」に生きる社会保険労務士にとってすべからく要請される時代を迎えたといえるのではないか。
土橋労務管理事務所 土橋 純二郎【大阪】
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