働き方改革法に期待/花部社労士・行政書士事務所 代表 花部 訓

2018.05.27 【社労士プラザ】

花部社労士・行政書士事務所 代表 花部 訓

 働き方改革関連法案が国会で審議されている。

 同法案について、とくに影響のありそうな点を考察してみる。

 まずは、「時間外労働の上限規制」についてである。

 時間外労働の上限時間は、これまでも原則的に月45時間、年360時間というのが労働省告示で決められていて、多くの使用者はこの上限時間を目安に36協定を結んでいることと思う。また、これまで上限時間の規制がなかった特別条項付協定について、法律案では上限時間が制定されている。

 この上限時間は労災の脳・心臓疾患の認定基準の時間と同じであり、新法律の上限時間を守ったとしても、使用者はこれまでどおり、労働者の安全管理に配慮することは変わらない。

 2つ目は、「正規・非正規間の不合理な待遇差の禁止」と「正規・非正規間の待遇差の説明の義務化」である。

 やるべき仕事の内容、責任、時間、成果が同じなら賃金も同じであって良いはずだが、わざわざ法律に明文化するのは、そうではない現実が多くあるということだろう。

 最近の裁判例でも、不合理な格差は認めない判決が多く出ている。自社の制度に不合理な待遇差があるようであれば、早めに対応しておいた方が良いと思う。また、待遇差の説明を義務化することは、労働者に説明できないような待遇差は作らないように、との意味合いであろう。

 3つ目は、「勤務間インターバル制度の普及促進」である。

 法律案では、具体的な休息時間数の定めまでは見当たらないが、時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース)の支給対象の要件に、「9時間以上の勤務間インターバルの導入」とあるので、そのくらいの時間を想定しているものと思われる。

 ちなみに、始業午前9時、終業午後6時の会社で、9時間の勤務間インターバルを導入すると、午前0時までの6時間残業することができ、1カ月間フル残業すると72時間の残業時間となる。これでは、脳・心臓疾患の労災認定基準とあまり変わらないので、安全管理の観点からは、この制度だけでは十分とはいえない。今回は努力規定であるが、将来的には義務規定になるのだろうと思う。

 以上、働き方改革関連法案に関連した3点について考察してみた。この法律が、使用者・労働者双方にとって、より良い結果を生んでくれることを願う。

花部社労士・行政書士事務所 代表 花部 訓【青森】

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掲載 : 労働新聞 平成30年5月28日第3162号10面

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