【主張】行動に目標定める14次防

2023.03.02 【主張】
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 2023年度からの5年間を対象とする第14次労働災害防止計画の内容が固まった。厚生労働省案に対し、労働政策審議会が「妥当」と答申している。これまでの計画と異なり、事業場における具体的な対策の実施状況にも数値目標を設定したのが特徴だ。企業にとっては、求められている取組みがイメージしやすい。各対策の実施率が向上し、労働災害の減少に着実につながることを期待したい。

 14次防では期間中の数値目標として、重点課題ごとに取組み状況を確認する「アウトプット指標」と、その取組みの成果として期待される災害減少の到達目標となる「アウトカム指標」の2種類を設定する。重点課題には、行動災害防止や高年齢者の労災防止、健康確保対策、外国人労働者対策、業種別の労災防止などを挙げた。

 死傷災害が増加傾向にあるなか、約4割は「転倒」、「動作の反動、無理な動作」といった行動災害が占めている。

 一方、事業者における対策は十分とはいえないのが現状だ。厚労省が労政審に提示したデータによると、転倒防止対策に取り組んでいる割合は、手すり設置や段差の解消、整理・整頓などハード面の対策では8割に上るのに対し、転びにくく、ケガをしにくい身体づくりなどソフト面の対策に取り組んでいるのは5%程度と少ない。

 そのため14次防では、行動災害関連のアウトプット指標として、「転倒災害対策(ハード・ソフト両面から)に取り組む事業場割合50%以上」を挙げた。さらに、「卸売業・小売業、医療・福祉の事業場における正社員以外への安全衛生教育の実施率80%以上」なども盛り込んでいる。

 行動災害以外の重点課題では、健康確保対策として、年次有給休暇取得率や、勤務間インターバル制の導入率、メンタルヘルス対策の実施企業割合などの目標を設定。外国人労働者対策では、母国語の教材を用意するなど、分かりやすい方法による安全教育の実施企業割合を指標とした。

 同指標は多岐にわたるため、企業においては、自社の課題を踏まえて取り組む内容を選択すると良いだろう。

令和5年3月6日第3391号2面 掲載

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