【主張】効果的な安全対策提示を

2022.10.13 【主張】
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 来年度にスタートする第14次労働災害防止計画で厚生労働省は、企業による自発的な安全衛生対策の推進に向けた意識啓発を重点事項と位置付ける意向だ(関連記事=安全衛生対策 中小企業の意識啓発に重点 14次防巡り議論開始 厚生労働省・労働政策審議会)。中小企業で対策の実施率が低く、災害が多発していることが背景にある。

 意識啓発に向けた取組みとしては、安衛対策の経営上のメリットを提示することや、災害分析の強化および分析結果の周知などを想定している。人材・資金ともに限られている中小企業に対し、災害分析の強化を通じ、効果的かつ効率的な労災防止手法が示されることを期待したい。

 令和3年度の労働災害発生状況をみると、休業4日以上の死傷災害(14万9918人)のうち42.5%(6万3834人)が労働者30人未満の事業場に集中している。

 一方、厚労省の平成30年労働安全衛生調査結果では、事業場の規模の大きさによって対策の実施状況に大きな差が生じている。正社員を対象とする安全衛生教育の実施率は300人以上規模で96%を超えるのに対し、30人未満規模では76%と20ポイント以上も低い。

 これらの状況を踏まえると、近年の死傷災害の増加傾向に歯止めをかけるためには、中小企業における対策の活性化が欠かせない。

 労働政策審議会で検討が始まったばかりの14次防の内容について厚労省は、企業への意識啓発を柱の一つとして提案した。中小企業の意識を安衛対策に向けさせるため、対策の実施が経営面にプラスになることを周知するという。災害分析を強化し、災害防止に効果的な対策の周知・普及にも取り組む。

 人員などが限られていて多忙な中小企業においては、考え得るすべての対策に取り組む余裕はない。優先順位を設けて取組内容を取捨選択せざるを得ないため、災害防止効果が高い具体的な対策を明らかにすることは重要だろう。

 厚労省では、労働者死傷病報告の電子申請化を通じて災害分析を強化し、発生原因を解析することなどを検討している(関連記事=転倒・腰痛防止 死傷病報告を原則電子申請に 発生原因の分析へ 厚労省・検討会中間整理案)。14次防の対象期間において、災害発生原因の分析を通じ、企業の業種・業態などの実情に応じた対策をぜひ示してもらいたい。

令和4年10月17日第3372号2面 掲載

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