【人材ビジネス交差点】メンタル向上へ睡眠確保を/㈱こどもみらい 代表取締役 赤塚 優作(ヘルスケア・コンサルティング業)

2022.07.17 【人材ビジネス交差点】
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㈱こどもみらい 代表取締役 赤塚 優作 氏

 人事労務担当者各位にとって、メンタルヘルス対策は「必要ではあるが、対処が難しい課題」の1つであろう。

 職場環境改善といっても、現場で目にする業務上の環境は、自社や業界固有の事情と密接に結び付いていて簡単には変えられないものも多い。

 さらにこの問題を複雑にしているのは、同じ職場・同じ業務にもかかわらず、問題なく働き続けられる者と不調に陥ってしまう者がいる、という経験的な事実である。

 実は、メンタルヘルス不調に陥いるかどうかを左右する要因としては、仕事の負荷や職場の人間関係といった外部からの「ストレッサー」以上に、一人ひとりが持つ「ストレッサーへの対応力」が大きな役割を果たしている。

 十分な対応力や回復力があれば、適度なストレッサーはむしろ成長を促す因子にもなり得るが、この対応力が低下した状態でストレッサーにさらされ続けると、抑うつや疲労感といった心身の不調として表面化してくるのである。

 もちろん、過度な長時間労働やハラスメントなど深刻な問題がある場合には対策が必要だが、そうした明白なストレッサーが見当たらない企業・部門にとっては、むしろストレッサーへの対応力向上が効果的なメンタルヘルス対策になり得るのである。

 それでは、このストレッサーへの対応力を向上させるために、企業として何ができるだろうか。

 対応力への影響が大きく、かつ比較的取り組みやすいものが、睡眠を中心とした個人のライフスタイルの改善である。経験的に理解している方も多いと思うが、良好な睡眠が取れているかどうかはメンタルヘルスと密接に関連している。

 多くの企業で実施しているストレスチェックに、睡眠の状況を併せて調査してみると、興味深い結果が得られる。なんと、睡眠の問題を抱えている者は良好な睡眠が取れている者と比較して、高ストレスと判定される割合が7倍以上も高いのである。

 さらにここで重要なのは、睡眠の問題は多くが日々のライフスタイルに起因しており、生活上のちょっとした工夫により「本人が自らの力で改善できる」という点だ。残念ながら日本では睡眠に関する教育はまだまだ不足しており、心の健康を守るためのこうした工夫は、十分に広まっているとは言い難い。

 産業保健の立場から従業員へ正しい知識を伝え、改善を促すことは、即効性のあるメンタルヘルス対策として、貴重な人材を守ることにつながるのである。

 従来のメンタルヘルス対策に手応えを感じていない方は、一度視点を変えて、睡眠を中心とした従業員の生活面にも目を向けてみてはいかがだろうか。

筆者:㈱こどもみらい 代表取締役 赤塚 優作

【公式WEBサイトはこちら】
https://cfltd.co.jp/

令和4年7月18日第3361号10面 掲載

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