【人材ビジネス交差点】「小さな会社」に教育機会を/㈱フリスコ 代表取締役 桑原 和弘

2012.12.10 【人材ビジネス交差点】
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 日経産業新聞にこんな見出しをみつけた。「教育研修費25%増」、「中小、大幅増で競争力」。記事によると、2012年度の従業員1人当たりの教育研修予算は11年度比25%増の3万9888円との民間調査報告があったとのこと。なかでも中堅・中小企業や非製造業が大きく伸ばし、これまで抑制していた教育投資を拡大させている、と続く。

 私は、いわゆる「小さな会社」を対象にした従業員教育や組織活性に関する事業を展開している。ここでいう「小さな会社」とは、従業員数が20人前後の組織を指す。老舗、新興、あるいは業種のいずれかを問わず、小さな会社の多くにみられるのが「教育機会の少なさ」である。入社以来勤続20年を超える従業員が「一度も研修を受けたことがない」ということも決して珍しくはない。

 小さな会社では、従業員が何かを学び、新しい知識なり技能なりを身に付けようにも、会社にあるのはOJTという名の「放置」だけ。社長、あるいは上司はいつもいう。「分からないことがあれば何でも聞きに来い」。従業員にしてみれば「何が分からないか、が分からない」ものだから質問や相談のしようがない。その結果、「受け身で主体性のない人物」との人物評価となり、場合によってはその従業員は会社を去っていく。

 小さな会社では、スキルやノウハウの習得より先に、ビジネスパーソンとしての基礎体力を身に付けてもらうのがよい。「創業者の思いを共有する」、「自分の仕事と役割を理解実感し心構えを整える」、「ともに働く仲間について深く知ることで思いやりの心を育む」、これらのテーマに沿って社長自ら熱く語りかけるだけでも思いのほか伝わるものである。

 「創業の想い」「心構え」「思いやり」をビジネスパーソン基礎体力と位置付け、入社時に1日程度かけて研修を行う。実務に関しては、具体的業務に必要となるスキルの一覧表を作るとともに習得スケジュールを立て、実行し、チェックする。新入社員がいない会社であれば、「今日が入社日」ということにして全員で進めればよい。導入期のみ専門家の支援を受けるだけで、あとは自社で運用できてしまう体系作りも可能であるし、そうすべきである。

筆者:㈱フリスコ 代表取締役 桑原 和弘

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平成24年12月10日第2900号10面 掲載

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