【主張】労働法制選択制へ議論を

2021.11.18 【社説】
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 本紙報道によると、経団連が裁量労働制の適用範囲拡大に関する考え方を、政府の規制改革会議に提出したという(関連記事=経団連提言 職種・業務で労働法制選択 裁量制の対象拡大し)。業種・業務に合った「労働法制」を選択的に適用すべきとする斬新な主張であり、賛同したい。

 基本的に労働時間の長短を基準とする現行労働基準法では、自律的・主体的・創造的な労働をうまくコントロールできない。日本の労働生産性の向上と将来の経済的発展にかかわることであり、これを機に正面から議論を交わすべきである。

 経団連は、裁量労働制を適用すると、長く働くことが報酬増につながらなくなり、短時間で効率良く働こうとする意識が形成されるとした。しかし、厚生労働省の調査によると、裁量労働制の導入規模は専門業務型で2%程度、企画業務型に至っては0.6%であり、ほとんど機能していないのが実情である。

 裁量労働制に適しているのは、自律的・主体的・創造的な業務で、具体的には研究開発、情報処理システムの分析・設計、金融商品開発、その他企画・提案・調査・分析にかかわる業務である。

 日本産業において質的・量的ともに人材規模が劣る分野といえよう。30年間にわたって経済成長せず停滞を続けている一つの有力な要因とみられる。背景には、工場労働管理・規制をベースとした労基法が未だに前提となっていることが指摘できる。

 経団連が主張した「労働法制」の選択制は、こうした日本経済のネックを解消する手がかりとなるかもしれない。厳しい人口減少が続くなか、日本のGDP(国内総生産)を拡大していくためには、研究開発などを幅広く促進して、労働生産性を向上させ、1人当たりの付加価値水準を引き上げていくしかない。

 裁量労働制とともに、高度プロフェッショナル制度のあり方も検討の対象とすべきだ。導入企業をもっと増やして、労働時間基準から脱却する方向へ進む必要がある。

 政府は、単なる裁量労働制の対象業務拡大というより、さらに大きな視点に立ち「労働法制」の選択制をめざした議論を開始してはどうか。

令和3年11月22日第3330号2面 掲載

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