【主張】今は労使が譲歩し合う時

2021.06.10 【社説】
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 コロナ禍が労使紛争にまで影響を及ぼしている。東京都労働委員会(金井康雄会長)が令和2年に受理した不当労働行為新規申立てが前年比2割増となった(=関連記事:新規申立てが大幅増 コロナ禍で環境悪化 都労委・令和2年不当労働行為審査)。都労委事務局は、コロナ禍で経営環境が悪化し、労使間で納得のいく交渉ができなかった可能性があるとみている。関与和解件数が前年比半減したこともそれを裏付けている。

 経済低迷と労使紛争増加は表裏一体といえる。コロナ禍が長引けば労使紛争の現場は深刻さを増す。労使ともに現在が非常事態の只中にあることを十分認識し、譲歩し合う必要がある。コロナ禍がおおよそ収束する時期まで結論を急がず、根気強く交渉を継続する余裕を持ってほしい。

 都労委の集計によると、2年の不当労働行為新規救済申立ては116件で、前年比21件増加。都労委がかかわって和解に至る関与和解は24件で、逆に前年比半減した。無関与和解を合わせた和解全体でも46件となり、前年比14件下回った。産業別では「運輸・郵便業」「医療・福祉」などがめだつ。

 厳しい労使対立を招く不当労働行為事件の大幅増加と、和解の減少が同時並行したことになる。労使の意思ではどうにもならないパンデミックの影響が浮き彫りである。都労委では、緊急事態宣言の発出などにより、経済活動が大きく停滞し厳しい状況が続いたとその背景を説明した。

 労働争議調整の状況からみても同様なことがいえる。2年の新規申請は56件で、前年比8件増加した。ここ10年ほど継続的に減少しつつあったが、増加に転じてしまった。産業別では、やはり「運輸・郵便業」「宿泊業・飲食サービス業」「医療・福祉」が多くを占めている。

 労使は、現在が特異な状況にあることを再認識し、冷静に対処して欲しい。ともに事業活動の存続に最大限の力を注ぐべき時である。組合員であることを理由とした解雇や雇止めが表面化すれば、コロナ禍による経済損失に追い打ちをかけることにもなりかねない。

 政府も部外者ではない。景気下支えのため思い切った経済対策を実行すべきである。

令和3年6月21日第3309号2面 掲載

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