【主張】疑問残る対前年同額要求

2020.11.05 【社説】
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 厚生労働省の令和3年度予算概算要求で、業種・地域・職種を超えた再就職支援を最重要課題としている点は適切である。コロナ禍のダメージが大きい就職氷河期世代などの活躍促進対策に力を入れている点も評価できよう。

 しかし、100年に1度の深刻なパンデミックから脱出するための対策費としては、あまりにも乏しい。全体の一般会計要求額が約33兆円で、前年と同額なのが重しとなっている。コロナ禍に伴う個別事業要望額も110億円に留まった。危機に対応した特別で強力な対策が実行できるか不安という外ない。

 今年7月の閣議で麻生財務大臣は、令和3年度予算概算要求の具体的な方針について発言。要求期限を1カ月遅らせるとともに、要求額自体も基本的に「対前年度同額」にすると指示した。この方針決定により、厚労省の概算要求額も対前年度同額となったのである。

 10月2日までのコロナ禍による解雇等見込み者は6万3000人(このうち非正規労働者3万1000人)、雇用調整の可能性がある事業所は10万3000社に達している。解雇等見込み者数は、氷山の一角であるとともに、今後も累積的に増加していく恐れがある。ここをうまく乗り切らないと、再び日本経済全体に大きなキズとなって残り、「失われた時代」がさらに長期化してしまう。

 厚労省の3年度予算概算要求では、雇用調整助成金で何とか雇用維持を図りながら、業種・地域・職種を超えた再就職支援により、失業をできる限り防止する狙いだ。ダメージが大きい非正規労働者の雇用支援にも力を割いており、対応としては適切といえるだろう。

 問題は、前年度と同額要求方針に縛られ、新規事業の件数や要求額が貧弱なことである。業種・地域・職種を超えた再就職支援における新規事業としての就職支援ナビゲーター60人程度の配置にしてもほぼ人件費のみの増額である。パンデミックから脱出が至上命題なのに、あまりに消極的過ぎる。今後編成が見込まれている第3次補正予算を注視したい。

令和2年11月9日第3280号2面 掲載

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