【主張】求職者支援制度の財源は

2023.03.30 【主張】
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 厚生労働省は、雇用保険を受給できない求職者に無料の職業訓練と生活支援のための給付金を提供する求職者支援制度について、4月から支給要件を変更した。コロナ禍の特例として設けてきた大幅な要件緩和は3月末で終了したが、コロナ前より受給しやすい要件を設定した。

 ただ、求職者支援制度は、労使が負担する雇用保険料が主な財源になっている。雇用保険財政がひっ迫するなか、雇用保険の受給資格がない者を対象とする同制度を保険料で賄うのが望ましいのかどうか、改めて検討すべきだ。

 同制度の給付金には、月10万円の職業訓練受講手当のほか、訓練施設までの交通費を支援する月最大4万2500円の通所手当、家族と別居して訓練を受講する際に支給する寄宿手当まである。

 給付金を受けるには元々、本人の収入要件(月8万円以下)や世帯の収入要件(月25万円以下)などを満たす必要があった。非正規労働者の離職やシフト減が深刻化していたコロナ禍においては、特例措置として、本人収入12万円以下、世帯収入40万円以下へと大幅に緩和していた。その他の要件も緩和した結果、受講者数は大きく伸びている。

 特例措置は3月で終了させたものの、併せて要件の一部を見直した。コロナ前に比べて世帯収入の上限を5万円引き上げ、家族と同居している非正規労働者などが受講しやすくなるようにしている。

 また、コロナ前は病気などやむを得ない理由がある場合を除き、すべての訓練に出席する必要があったが、就労経験の少ない求職者がターゲットの「基礎コース」では、やむを得ない場合以外の欠席を2割まで認めるようにした。ハローワークに対して行った調査によると、基礎コースの対象者が受講しなかった理由で多いのが、「遅刻、欠席をせずに毎日訓練に通い続ける自信がない」だという。

 雇用調整助成金のコロナ特例措置の長期化が響き、雇用保険財政が危機的状況にあるなか、求職者支援制度は、要件の緩和よりはむしろ、厳格化の検討が必要ではないか。国庫負担の拡大など、財源の見直しも求められよう。

令和5年4月3日第3395号2面 掲載

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