【主張】積極的に無期契約転換を

2019.10.03 【主張】
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 本紙報道によると、KLMオランダ航空の客室乗務員3人が労働契約法第18条に基づき同社に無期雇用契約への転換を申し込んだところ、拒否されて雇止めとなる事件が発生した。東京地裁は、これを同法違反とみなし無期転換を命じたという。同社は、最近になっても客室乗務員を次々に雇止めし、この結果、29人の労働者が撤回を求める訴訟を起こしている。

 民事上の規範として「無期転換ルール」が定められた以上、これに従わないと法違反のブラック企業と烙印を押されてしまう。社内訓練は契約期間に入らないとの同社の主張も通用しない理屈である。

 有期契約労働者の雇用安定と処遇アップおよび人材の有効活用は、一企業の枠に留まらず社会全体にとっての重要な課題となっている。使用者は、無期転換ルールの適用回避を画策するのではなく、積極的に有期契約労働者の雇用安定をめざす方向に意識転換してもらいたい。

 KLMオランダ航空事件では、就業前に9週間の訓練を実施した後、3年間の有期労働契約、その後2年間の契約更新をしたため、訓練期間を通算して契約期間5年が経過。このため客室乗務員が無期転換を申し入れたが、同社は「訓練は労働契約期間に通算しない」と主張し、無期転換に応じず雇止めとした。

 客室業務に不可欠な訓練期間であればどう考えても実質上労働の一環であり、労働契約期間内との解釈を免れることはできない。訓練を受けなければ業務に支障が生じる可能性があり、就労の前提条件となっていることは明らか。

 同社に限らず使用者としては、無期転換ルールの適用回避を無駄に画策すべきではない。短期の有期契約に基づく不安定雇用の縮小は、いまや社会的要請である。5年近く長期間就労し、一定程度戦力化している労働者をそのまま無期転換しても支障とならないばかりか、人手不足を考慮すると必要な取組みといえるだろう。

 今後、無期転換拒否と雇止めに対する裁判所の判決が増加すると見込まれるが、多くが使用者に厳しい判断となるかもしれない。

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令和元年10月7日第3227号2面 掲載

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