【主張】22年バイトは容認できず

2016.12.12 【社説】

 津地方裁判所は平成28年10月25日、ジャパンレンタカー事件で、22年間もアルバイトを強いられ、あげくに雇止めされた労働者を救済する判決を下した(本紙11月21日号3面既報)。雇止めに解雇権濫用法理を類推適用して地位確認請求を認めたうえ、故意・過失による不法行為に基づく損害賠償支払いを命じている。

 雇用契約の更新手続きが形骸化し、無期雇用契約とほぼ同視できると判断したためだが、この事件の本質はそこではない。中高年になるまで22年間も数カ月の短期雇用契約を膨大な回数にわたって更新し続け、しかも業務内容は同じ職場の正社員とそれほど変わらなかったという点だ。

 雇止めを前提とする雇用契約は、しっかり節目を設けて更新すべきことは論をまたない。しかし、正社員と同様の恒常的仕事を担当している非正規労働者については、一定期間経過後に無期雇用契約の正社員に転換し、比較的安定した労働環境を提供すべき時代が到来している。

 企業と労働者そして社会全体が不幸にならないために、このような長期間にわたる不安定雇用にストップを掛けなければならない。

 原告の労働者は、レンタカー店で、主に大型車の洗車や点検などを行っていた。仕事の経験が長いため、アルバイト従業員の中ではリーダー的存在であった。このため同僚から、指示だけして他人に押し付け、自分は動かなかったなどという仕事上の問題点を訴える証言があった。

 そのうえ原告は、医者から軽度のうつ状態および睡眠障害と診断され、短期間の休養を取らざるを得なくなり、これが直接の原因となって雇止めされてしまった。

 雇止め時の賃金月額は24万円ほどで、年齢は40歳を超えていたという。22年間でどの程度の賃上げがなされたかは不明だが、推して知るべきであろう。

 賃上げをすべきかはその企業の裁量によるが、無期雇用契約に転換させてアルバイトの身分を解消していれば、もっと意欲的に仕事に励んだかもしれない。30年4月の無期転換ルール適用を待たず実行すべきである。

掲載 : 労働新聞 平成28年12月12日第3092号2面

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