【主張】待遇格差の説明へ準備を

2018.02.26 【社説】

 通常国会で「同一労働同一賃金」関係法案の上程・審議が見込まれている。本紙の最新労働判例解説(1月29日号14面)で、このほど示された正社員と有期契約労働者との間の待遇差に対する佐賀地裁の考え方は極めて納得のいくもので、人事労務担当者にとって大いに参考となる。

 仮に同様な業務を担当していたとしても長期雇用を前提とする正社員とスポット的な有期雇用労働者は、様ざまな面で異質であり、賃金などの待遇格差があっても合理的というほかない。

 もう誤解はないだろうが、政府がいう同一労働同一賃金とは雇用形態による不合理な待遇格差を解消させようという狙いを持つものである。職務基準賃金が一般的な欧米諸国の同一労働同一賃金原則を持ち込もうというものではない。日本で同一労働同一賃金が実現したとしても、ほんの限られた条件下で成立するに過ぎない。本来なら不合理な待遇格差解消法案などと表現すべき内容だ。

 同裁判例の解説を担当した石井妙子弁護士は、「そもそも労働契約法第20条の定めは抽象的であり、…裁量の幅は広い。相違が不合理かどうかも価値判断であって幅のあるものである」と述べ、事案によって判断が異なってくるとしている。

 たとえば、非番日の勤務に対する割増率、早朝・夜間の割増率、賞与支給額、作業能率評価手当などに格差があっても必ずしも不合理ではない。そもそも、クレーム対応や営業活動が強いられ、域外配転の可能性がある正職員と将来ゼネラリストへの成長が期待されていない有期雇用労働者とでは、逆に待遇格差がないとおかしい。

 本紙2月5日号5面既報の大阪医科薬科大学事件(大阪地裁判決)も同じである。正職員と全く異なるアルバイト職員が待遇格差を訴えても到底容認されるものではない。

 企業は、今年中に成立するであろう同一労働同一賃金法案を恐れる必要はない。待遇格差の多くは、すでに合理的判断の積み重ねの上に成立しているはずだ。格差の理由を丁寧に説明できるよう準備しておけばいい。

掲載 : 労働新聞 平成30年2月26日第3150号2面

あわせて読みたい

ページトップ