【主張】教育界の荒廃が生徒の労災死へ

2012.09.03 【社説】
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 滋賀県大津市の「いじめ自殺」は、学校・日教組・教育委員会の3者が当初、もみ消しを図っていたことが明らかになり、全国的な問題に発展し、余燼が燻り続けている。この渦中にあって、群馬県桐生市では、中学生を危険有害業務の中でもその度合が格段に高い「解体作業」でアルバイトとして使用し、死亡事故に巻き込む事件があった。

 同県太田市の解体業者は、7、8年前から計17人ほど不登校などの中学生をアルバイトとして受け入れてきた、と話しており、労働基準法第56条第1項に定める年少者使用違反を繰り返してきたわけである。この背景に滋賀県大津市事件と共通点があった。

 解体業者は、「受入れは、学校や親から頼まれた時だけで社会人になる手伝いになればと思っていた」と証言しており、悪意は感じられない。

 危険有害業務のバイト依頼を学校側(栃木県足利市立西中学校)が率先して行い、その無責任な事実が、業者の証言によって明らかになったという。同校校長も就労許可を出し、報告を受けた市教委も追認したという「教育者にあるまじき行為」は、糾弾されて当然のことだろう。

 高校進学率が限りなく100%に近付いている今日、明らかに18歳未満と分かる労働者が、小規模建設現場で見受けられる。彼らは大半が高校中退者で、現役中学生が混じっていたとは予想外の出来事である。群馬県警は、業者を家宅捜索しているが、積極的に関与した学校も同様の措置を為すことを願いたい。学校側の釈明も「職場体験として働くことを許可し、日当(5000円)は弁当代などの経費と認識していた」とし、生徒への就労許可に加えて、校長や担任が「お世話になります」と業者に頭を下げていたことも明らかになった。これでは、教育責任を放棄し、不良をやっかい払いした、確信犯としかいいようがない。

 ニッカポッカをまとい、仁王様よろしく首に安全帯を巻いて粋がっている先輩を真似たい生徒の後押しを校長がしたとは、信じられない話だが、嘘偽りのない事実である。教育界の荒廃は、とどまるところを知らない。

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平成24年9月3日第2887号2面 掲載

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