【主張】企業内失業者増恐るるに足らず

2012.01.23 【社説】
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 昨年暮れ、内閣府は恒例のミニ白書(例年夏に公表する「経済財政白書」を補完し、足下の経済情勢を把握する役割を持つリポート)を公表した。それによると、11年7~9月期の企業内失業者は、前年同期に比べ、50万人増の465万人に達し、雇用不安を裏書きする数値となった。

 企業内失業は、企業の生産能力に見合った「最適な雇用者数」から実際の雇用者数を差し引いて求めるもの。リーマン・ショック後の09年1~3月期の698万人をピークに減少を辿っていたが、再び増加に転じたというのは不気味である。加えて来年4月2日からは、60歳代前半の老齢厚生年金の定額分・報酬比例分を受給できない昭和36年4月2日以降生まれの対象者が発生するため、高年法を改正し、現在、労使協定で選別できる65歳までの継続雇用等について、「全員雇用義務」を課するという動きもある。

 大学卒就職予定者の内定率は変わらず低迷しており、若年者が企業内失業者の囲い込みにより一層就職の門を閉ざされるという懸念もある。

 その半面で、こうした企業内失業者を抱え、かつ超円高下にあっても、人員整理が表立って出ないため、企業の底力・体力が相当あるという希望的観測も湧く。民法第627条第1項では期間の定めのない雇用の解約について、各当事者は「いつでも解約の申入れができる」と定めている。もっとも、人員整理については、労働契約法第16条に規定する「解雇権濫用法理」の難関が控えており、企業の思惑どおりにはいかないが、目下のところ、この法令をめぐる争いも耳にしない。

 いささか旧聞に属するが、10年の中小企業白書によると、売上高は、製造業の30兆円に対し、非製造業はその4倍に当たる120兆円を稼いでおり、超円高恐るるに足らず、と公言する評論家もいる(総務省調べでは、中小製造業53万社に対し、非製造業はその10倍の539万社あり格差は当然だが、企業の海外脱出による国内産業の空洞化の影響は少ない、ということのようだ)。企業内失業者問題は意外な一面を浮上させたとみることもできよう。

平成24年1月23日第2857号2面 掲載

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