人事評価制度の活用へ/井上社会保険労務士事務所 所長 井上 知子

2018.06.24 【社労士プラザ】

井上社会保険労務士事務所 所長 井上 知子 氏

 今後、日本は人口の減少に伴って労働力人口も減少し、労働者の確保がさらに難しくなっていくとみられる。また、売り手市場とされる現在の状況において、大学新卒者が3年以内に離職する率は約3割といわれている。

 企業と求職者のミスマッチも要因の1つであろうが、人は自分が他人にどう評価されているかを気にし、仕事を通じて、やりがい・生きがいを感じるのではないだろうか?

 離職の防止には、会社が一定の基準により従業員を評価し、従業員にやりがいを感じさせ、モチベーションを上げるのに役立つような評価制度の導入が不可欠であると考える。

 私は、開業前は労務管理の仕事を全く経験したことがなく、不動産のディベロッパーや賃貸営業、フィットネスインストラクターや介護事業など、合わせて10業種近くの様ざまな仕事を経験してきた。

 自分が従業員だった時、ただひたすら、目の前にある仕事を一生懸命やるだけで満足していた。どのように頑張れば会社から評価されるか分からなかったため、会社の上司に相談もせず、自分なりのやり方で仕事をこなしていたのだった。その結果、なかなか仕事について評価されず、「なぜ私はこんなに頑張っているのに評価されないのだろう」とよく悩んでいたものである。

 今、お客様の企業に提案している評価制度は、OLだったころの私のように、会社の目標とは関係なく自分勝手な目標で仕事に取り組んでいる従業員にぴったりな制度だと感じている。

 会社全体の目標の中で、個人のやるべき業務が明確になり、会社の経営理念が従業員に浸透し会社全体に一体感が生まれる。また、上司との面談も定期的に行うので、上司とのコミュニケーションの活性化を通じて会社の風通しを良くすることができる。

 人事評価制度は、人材育成と密接に関係する。労働力人口の減少に対応するため、自社で人材を育て、社員のやる気を起こさせ、企業の業績が向上するために必要な制度である。業務の効率化にもつながるので、導入を事業主に広く勧めていきたい。

 しかし、中小零細企業は、大企業と違い、制度を導入してもなかなか企業で運用ができず「絵に描いた餅」になりがちである。

 労務管理のスペシャリストである社会保険労務士が、評価制度の作成もさることながら、運用部分をしっかりとフォローすることで制度が定着し、会社の業績向上につながっていくと確信している。

井上社会保険労務士事務所 所長 井上 知子【神奈川】

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掲載 : 労働新聞 平成30年6月25日第3166号10面

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