【主張】労基法の「氷漬け」に憤り

2018.05.17 【社説】

 今通常国会でようやく働き方改革関連法案の実質審議がスタートした。会期末までほぼ1カ月ではあるが、審議日程を予定通りこなして、今国会で成立させるよう全力で取り組んでもらいたい。

 同法案の柱である労働基準法改正案は、実質上、平成27年の通常国会に提出したもので、途方もない空白の時間が費やされている。わが国にとって極めて重要な長時間労働対策の実施にこれほど無駄な時間を掛けていいのか、国民からみれば憤りを感じざるを得ない。

 特別条項付き36協定に基づく臨時的な時間外労働に罰則付き上限規制を設定する改正は、過重労働の温床として長年にわたって問題視されている実態を改善しようとするもので、現政権の決断力、実行力によってようやく展望が開けた。

 年次有給休暇の消化がままならない状況に対しては、使用者に年休時季指定を義務付けるという画期的な改正を盛り込んでいる。年休時季指定権は、基本的に労働者の権利とされていたが、年休消化を少しでも促進する手立てとして、思い切った発想転換を図ったといえる。

 月60時間超の時間外労働に対する割増率50%以上の義務化を中小企業に拡大する改正は、主に過労運転による重大な交通事故を抑制するために必要だ。

 いずれの長時間労働対策も早急に成立・施行させ、過重労働に悩まされている国民、労働者を早く救うべきであり一刻の猶予もないはずだ。過重労働問題がこれだけ注目されているのに、基本となる労基法改正が何年も氷漬けとなっている現状は、到底納得がいかない。

 今通常国会において、働き方改革関連法案審議がスタートとなったが、遅過ぎるとしかいいようがない。審議においては、明らかに反対のためにする反対や重箱の隅を突く議論はやめてもらいたい。ましてや審議拒否も認められない。このような勢力は決して国民の支持を得られないと自覚すべきだ。わが国の労働環境改善を少しでも前進させるため、建設的な審議に終始すべきである。

掲載 : 労働新聞 平成30年5月21日第3161号2面

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