【主張】AI革命の足枷になるな

2016.04.18 【社説】

 日本は、人工知能(AI)開発をベースとする「第4次産業革命」に後れを取ることはできない。産業構造の急速な変化に対応できる優秀な人材の育成・確保と雇用環境の整備を急ぎ、未来社会の基盤整備に取り掛かる必要がある。世界産業は大きな転換点に差し掛かっている。同じ工業大国であるドイツでは、すでに「インダストリー4.0」と銘打った改革を、産学官共同で進めているという。狙いは、製造過程にAIを導入し、生産性と柔軟性を飛躍的に高めることだ。

 18世紀に始まった産業革命に続き、20世紀に入ってからの電気技術を中心とする第2次産業革命、電子技術を飛躍的に伸ばした第3次産業革命に続く転換点とされる。安倍総理は、年初の産業競争力会議における訓示で次のように述べた。「日本がデフレマインドを払拭しようとしている間も世界は待ってくれません。『第4次産業革命』は世界を一変します。今、正に世界中の企業や頭脳が死に物狂いで探求し、挑戦しています。この激震に勝ち残れる条件は熱い情熱とアニマルスピリットであります」。デフレを理由に、他の先進諸国の後塵を拝するような事態となれば、将来立ち直れなくなる恐れがある。日本は、そのまま衰退への道を進みかねないという強い危機感の表明である。

 本紙が4月からスタートさせた「人工知能が拓く未来〜人事労務分野への影響」と題する連載も、日本の第4次産業革命を後押ししたいという意図がある。労働・雇用分野の専門紙として、未来を形作るであろうAI開発の現状とその活用の行方を独自の視点で探っていく必要がある。

 第4次産業革命を担う人材の育成に向けて、高等教育機関のあり方や教育プログラムの見直しに取り掛かる必要があろう。人事管理においては、成果・能力主義を重視し競争を通じた全体のスキルアップが求められるかもしれない。雇用制度の予見可能性を高め、総体として人材配置の最適化を図ることも重要といえる。少なくとも雇用制度が足を引っ張ることのないよう改善に努めるべきである。

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掲載 : 労働新聞 平成28年4月18日第3061号2面

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