【主張】中小もAI化向け決断を

2021.05.20 【主張】
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 経済産業省は、中小企業のAI化を推進するため、導入ガイドブックを作成した(=関連記事:中小のAI導入へ手引 部品検査など2領域で 経産省)。外観検査と需要予測の2分野への導入を勧めているが、経理関連業務の効率化やデータに基づく販促などでの利用も課題としている。費用はモデル構築などを外注しなければ、数十万円で済むという。日本の労働生産性が劣る大きな要因に、中小企業の設備投資不足がある。ガイドブック作成を契機に、AI化へ最初の一歩を踏み出すべきだ。

 日本全国には中小企業が360万社あるが、昨年1月時点のAI導入済み企業はそのうちの3%に過ぎない。経営層のAIに対する理解不足と自分事感のなさに加え、AIを開発・運用するリソース(資金・データ・人材)が不足していることにネックがある。

 しかし、関心の高い導入費用は、AI化といっても極めて低廉といえる。製品の外観検査を例にとると、ある程度上級クラスでも数十万円で導入可能である。中心となる機材であるパソコンやカメラ、照明機器などの費用だ。モデル構築を社内で行えない場合は、プラスアルファとなることは致し方ない。

 導入推奨分野としては、文字認識(AI-OCR)・RPAによる受注・調達・請求・支払いなどの経理関連、購買・顧客データ解析による販促費用削減・売上げ増強、センサーを通じた逸失利益の最小化などが想定されている。

 AI化に向けた設備投資は、多くの中小企業が直面する課題を解決する唯一の方策であり近道である。労働力減少、人手不足が深刻化しているなかにあっても、AI化を加速して労働生産性をアップすることで問題は解決する可能性が高い。将来の生き残りを考えれば、AI化に乗り遅れることはできない。

 マクロ視点で捉えても、日本にとって中小企業のAI化は後回しにできない。先進諸国と比較して労働生産性が劣る原因に中小企業の設備投資の遅れがある。今後も経済大国の地位を維持し、国力を増強していくためには、中小企業の効率化が欠かせないだろう。遅れ気味とはいえ、これを機に一歩前へ踏み出す決断を求めたい。

令和3年5月31日第3306号2面 掲載

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