【主張】AI時代を乗り越えよう

2017.11.20 【社説】

 経済産業省がさきごろ示した試算結果によると、AI(人工知能)やロボットの出現・普及により、2030年度には日本において最大735万人の雇用が減少する可能性があると警鐘を鳴らしている。

 しかし、この減少幅はそれまでに何ら手を尽くさなかった場合に生じる規模とされている。日本的経営の柔軟性を最大限に発揮すると同時に、企業の枠を越えた労働移動の促進と人材育成により、労働力配置の総体的な適正化が進めばAI時代は乗り越えられる。

 第4次産業革命の結果、AIの職場への導入が拡大すると、仕事内容や働き方が大きく変化していくとみられている。日本は、今まさに産業革命の波に乗れるか否かの岐路に立たされている。欧米が先行し、すでに水を空けられている現状を早期に打開しないと、将来的に付加価値を享受できなくなる。

 危惧されているのが、AIの普及に伴う雇用減少だ。ただ、日本特有の経営や雇用慣行はこの雇用減少の歯止めとなり得るという見方があり、これを支持したい。急ピッチで進む労働力人口減少のAIによる代替可能性も指摘されており、決して悲観論ばかりではない。

 日本的経営は、本来、職務の割振りが柔軟で、1人の労働者が担当する職務が多岐にわたる傾向がある。職務基準の性格が強い欧米先進諸国の企業経営と大きく異なるところだ。このため、AIの普及によって特定の職務が消滅したとしても、別の職務に変わったり、配置転換することによって直ちに失業することなく雇用は維持されるという分析がある。

 近年、マイナス・イメージが強まっていた日本的経営が、実はAIの普及と労働力の適正配置に有利に働くかもしれない。弱みを強みに代えて、新しい技術革新に対応していけば、雇用減少への懸念も後退する。

 後は企業の枠を越えた労働移動の促進が課題となる。外部労働市場を充実させて、成長産業への円滑な移動と人材育成に力を注ぐ必要があろう。AI時代に挑む準備を早急に整えていきたい。

掲載 : 労働新聞 平成29年11月20日第3137号2面

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