【主張】日本再生戦略の足下は大丈夫か

2012.10.29 【社説】
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 谷川和生㈱東芝顧問は、本紙「ぶれい考」(9月10日号)のなかで、グローバル人材の育成が企業内教育の喫緊の課題とし、その要件として①語学力②日本の文化・歴史・風土に対する識見③ダイバーシティに関する資質の錬磨④企業の持つバリューの理解と実践――を挙げている。

 政府は「分厚い中間層」の復活をめざすとした「日本再生戦略」を閣議決定した。本紙が報道したのは、谷川顧問の提言とほぼ期を同じくする8月27日号(1面)で、今日的課題としてグローバル人材の育成が課題となっていると同じ視点に立っている。もっともダイバーシティについては、社内人材の多様性が早くから叫ばれており、「耳タコ」の状態ともいえるが。

 分厚い中間層では、かなり具体的数値を挙げており、目標どおり実現することを祈るばかりである。2020年までの目標を紹介すると、20~34歳の若年層の就業率77%、25~44歳の女性就業率73%をそれぞれ達成し、谷川顧問に通ずる政策として、日本人学生等30万人の海外交流の実現、日本企業マネジメント層の国際経験を東アジアトップレベルに引き上げる、と勇ましい限り。政策は国だけでなく、企業、教育機関その他もろもろのルートで進めなければならないが、責任の所在は当然20年の時点で政権首班となっている人物にある。

 フリーターの正社員化、両立支援策の拡充による男性中心型就業構造を男女同率にまで転換し、外国人雇用を積極的に行わなければ、この構想の実現はおぼつかない。グローバル化はけっこうだが、円高下チープレイバーに頼って海外進出先を右往左往している主要製造業の協力なくしては実現し得ない面が多い。政府が主張する「全員参加型社会」は、国内経済空洞化を避け、ダイバーシティ精神に基づく産業政策の裏付けがあってこそ。ただ、実情をみると海外進出一辺倒で、グローバル人材育成が声高に叫ばれるとこの傾向に一層拍車をかける恐れもなしとしない。労働政策もオール正社員化指向にあり、ダイバーシティの目標の1つである雇用形態の多様化が後退しているからだ。

平成24年10月29日第2894号2面 掲載

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