【主張】外国人対処へ監督官増強

2018.12.20 【主張】
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 出入国管理法改正案と法務省設置法案が臨時国会で成立した。改正法務省設置法では、新たに「出入国在留管理庁」を設置したうえ、入国審査官を500人規模で増員する見通しだ。しかし、これだけでは不十分である。外国人労働者の労働条件を守るためには、労働基準監督官を同様な規模で増員し、監視、監督を強化する必要がある。

 改正法務省設置法によると、同庁長官は、特定技能雇用契約が必要な基準に達していることや同契約内容の履行などについて、企業などに対し必要な指導・助言を行うことができる。基準をクリアしていない場合は、改善命令を発し公表することができる。同庁には、「入国者収容所」を置いて退去強制する者を収容し、送還する事務を遂行するとした。

 特定技能1号は、在留期間5年、同2号は家族帯同で永住も可能となる。ただし、政府によれば、永住許可する前提として、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産や技能を有することに加えて、その者の永住がわが国の利益に合致すると認めたときに限り許可する。換言すれば、希望者全員を永住許可するということではない。

 永住許可は、厳格・計画的に運用するのであれば容認できよう。同2号での就業なら比較的安定的な労働条件が確保される可能性が高い。

 問題は、同1号で入国した外国人労働者の在留管理である。5年で同2号に進めない場合、必ず帰国させる必要がある。同庁の新設、増員によってどこまで厳格な運用ができるかがカギとなろう。不法就労の増加がこれ以上社会問題化しないよう十分な態勢を整えて対処してもらいたい。

 一方、現行の技能実習制度の運用状況をみると、法定労働条件の遵守に力を入れる必要がある。本紙が最近報道した労働基準監督署による司法処分のニュースでは、実習生を最低賃金以下で働かせたり、強制貯金、帳簿改ざんなど悪質な実態がめだつ。人権問題として国際的にも関心が高まっている。

 在留管理の適正化と並行し、法定労働条件の確保に向け監督官増員が欠かせない。

平成30年12月24日第3190号2面 掲載

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