【主張】なし崩し的“移民”を懸念

2018.11.01 【社説】
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 政府は、外国人労働者の受入れ拡大を一気に進めようとしている。当初、一定の技能を有する外国人労働者を、人手不足の厳しい5業種に限り5年を限度に受け入れる新たな在留資格を創設するとしていたが、対象を14業種程度に拡大する方向としている。

 在留期間を制限した上での受入れ規模拡大なら致し方ないが、一部であっても外国人労働者に定住権を与える動きにはとくに警戒が必要である。事実上、移民受入れ開始と同視できる。社会的・文化的態勢が整っていない段階でのなし崩し的受入れには強く反対したい。

 政府は、新在留資格の創設に当たって出入国管理業務上支障があると判断した国からの受入れに制約を設ける考えという。具体的には、強制退去となった外国人の身柄を引き取らない国や乱用的な難民認定申請、不法滞在者が多い国からの受入れに関しては厳重に審査するようだ。

 現在、法務省内の一部局である入国管理局については、入国在留管理庁に格上げしたうえ、予算の大幅増とともに入国審査官を600人程度増員すると聞く。外国人労働者の受入れ拡大に伴って、不法滞在・不法就労の拡大、治安の乱れ、社会不安が増幅する恐れがあり、これまで以上の厳しい取締りなどが前提となってこよう。

 外国人労働者に頼りたい業種をこのまま放置できないのも事実で、どのような形であれ在留期間の制限を前提とした受入れであれば理解できる。だが、世界的に移民政策が問題視され世論を大きく揺さぶっているなか、一部であっても家族帯同を伴う定住受入れは認め難い。

 政府が提案しようとしている在留資格「特定技能」には、熟練度に応じて「1号」と「2号」があり、1号の在留期間は最長5年で家族帯同を原則認めないが、2号は5年を超える長期在留や家族帯同も可能になるという。家族帯同を認めるとすれば、事実上移民の受入れへ風穴が空いたことになる。

 人手不足の一時凌ぎで定住を認めてしまうと、近い将来必ず到来する不況期に取り返しのつかない事態になる。

平成30年11月5日第3183号2面 掲載

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