【道しるべ】4S再々 意識付けの原点・出発点と捉え

2013.06.01 【社説】

 今年の全国安全週間スローガンでは「高めよう 一人ひとりの安全意識…」と謳っている。その意識高揚については災害事例の提示や体感教育が有効とされているが、こちらはどちらかといえば心理面への刺激、あるいは被災時の衝撃や怖さを感じ知ってもらうショック療法的な趣きがあるから、一時的な興奮で終わる懸念がなくもない。

 スローガンで高めたいとしている一人ひとりの安全意識はもっと穏やかで、しかしながら心にしっかり根付いて、当たり前のように持続する意識だろう。

 では、その種の意識を育むにはどうするか、どんな手立てを用いればいいかだが、決め手になるよう特効策はない。もともと安全対策・活動には、時間をかけた地道な推進によってようやく成果を見るといった性向がある。人の気持ちと行動を変えようとするなら、まず全員が参加して容易に実行できるような形をとらなければ関心すら持たれない。

 そうした要件をあれこれ考え合わせると、安全意識の育成と向上には基本への立ち返りが肝要かと思えてくる。なかで重視したいのは3S、4S(整理・整頓・清掃・清潔)の効用である。本誌ではこれまで何回となく4S活動を取り上げてきたが、現場からのレポートを読み直してみると、やはり職場安全に意識を注がせる原点、諸活動の出発点はそこにあるのだと知らされる。

 「誰でも分かり、誰にでも出来、結果がすぐ見える、という実行のしやすさによってムリ・ムダ・ムラの排除が自ずと身に付き、安全かつ合理的に仕事をする感覚が養われる。それは気付き、思考、対話、行動の育成につながり、人の意識を変える」

 「整理・整頓は一見すると利益に結びつかない〝雑用〟のように受け取られがちだが、その徹底は作業効率の向上を図るうえで重要。生産性・品質・モラールなどを下支えする樹木の根っこのようなもの」

 ――どちらも4S、さらには躾(しつけ)を加えた5S活動を展開して実績を上げた安全担当者の言葉で、「4Sは正に人間教育活動」と評した方もいらっしゃる。また、耳を傾けるべき忠告には「整理・整頓不良の状態に慣れきってしまうと職場が不安全状態の巣となって危険な要因やら災害の芽を隠してしまい、それに気付かないままでいるのが怖い」といったものもある。

 身のまわりの整理・整頓を!というと、子供に言い聞かせるようなニュアンスを含むから軽く受け流されがちだが、職場でのそれにはもっと深い意味があると伝え、習慣化させたい。

掲載 : 安全スタッフ 平成25年6月1日第2187号

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