【道しるべ】転倒災害 要因排除は「足下の4S」から

2012.12.01 【ひのみやぐら】
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 死傷災害といえば建設業での墜落・転落、製造業における挟まれ・巻き込まれなどが思い浮かぶが、全産業での数値を見ると、最も多いのが転倒災害である。平成23年の統計(東日本大震災を原因としたものを除く)によれば、死傷者数11万7958人中の実に21.4%を占めている。業種別では製造業(とくに食品製造業)、商業、接客娯楽業、運輸交通業での発生が多い。

 その転倒災害だが、「通路・床面などでの滑り、段差・突起物・床上配線のコードなどでのつまずき、階段の踏み外し」が原因となって起こり、「加齢による平衡機能・筋力の低下による転倒も高齢化の進展とともに増加」している。また、「滑り、つまずきは日常よく経験するため重要視されないが、転倒は頭部強打につながりやすく、死亡や重度の後遺災害となる可能性を持っている。高所での転倒は墜落・転落に結びつく」――。

 確かに“滑った、転んだ”はよくあるから“落ちる、巻き込まれる”ほどには用心が働かないのかもしれないが、負傷内容、5件に1件超の発生割合を考えれば、決して軽視していいものではない。そうした現実への警戒心喚起は行政施策にも現れている。たとえば福岡労働局は7月以降、「ストップ 転倒災害」と銘打っての足下点検キャンペーンを展開。製造業、卸・小売業、社会福祉施設などに向け災害事例を挙げながら安全な通路・作業場所確保のポイントを示し、日常的な点検の実施を呼びかけている。

 同災害の防止策に関しては、施設面の改善(床面の凹凸・勾配・段差を極力少なくする、水・油の飛散防止措置を講じる等々)が求められるところだが、どの職場でもできる取組みとしては4Sの徹底があって実効性も高い。

 年末の繁忙期ともなると、足下への注意がお留守になりがちなだけに整理・整頓・清掃と清潔保持は、災害要因排除の基本策として欠かせない。寒冷な気候下での屋外作業ではなおさらで、もとより路面・床面の凍結には細心の注意が払われることとは思うが……。

平成24年12月1日第2175号 掲載

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