【道しるべ】12次災防計画 新規施策の実践・進捗に注目

2013.04.01 【社説】

 今年度から29年度までの中期5カ年計画で国の「第12次労働災害防止計画」が推し進められる。死亡者数と休業4日以上の死傷者数をともに平成24年比で15%以上減少させることを全体目標として掲げた新計画では、次の点がポイントになっている。

 ① 労働災害全体の減少目標とは別に、重点業種・疾病ごとに数値目標(例えば小売業での死傷者数20%減、メンタルヘルス対策に取り組む事業場80%以上など)を設定し、達成状況を踏まえて対策を展開する。

 ② 第三次産業に焦点を当て、特に災害が多発・増加状況にある小売業、社会福祉施設、飲食店に対する集中的取組みを実施する。

 ③ 死亡災害の半数以上を占める建設業・製造業に対しては墜落・転落災害、はさまれ・巻き込まれ災害に重点をおいて取り組む。

 また、安全と健康に対する意識改革の促進策として「企業の労働環境水準評価の仕組みを作り、良い評価を得た企業を積極的に公表する」、「重大な災害を繰り返しながら改善の見られない企業についても公表を検討する」ことも主要点のひとつに挙げられよう。

 このほか過重労働、化学物質、腰痛・熱中症、受動喫煙防止に関する対策、あるいは東日本大震災被災地の復旧・復興工事、除染作業での災害防止、東電福島第一原子力発電所の廃炉に向けた作業での被ばく防止対策なども重点的に実施される。

 各事項については、講ずべき施策が具体的に示されているのだが、目を引く一例としては、墜・転落による死傷の抑止と軽減を目的としたハーネス型安全帯の普及奨励がある。計画には「一般に広く使用されている胴ベルト型の安全帯は、墜落時の身体への衝撃が大きいため、作業性を考慮しつつ、一定条件下でハーネス型の安全帯を義務付ける」と明記されている。

 周知のように、胴ベルト型安全帯に関しては落下時に人体にかかる衝撃が想像以上に強烈で、くの字型の宙吊り状態での脊髄・内臓圧迫による障害もしくは死亡に至る例が少なからずある。これに対してハーネス型は同じ状況に遭遇しても衝撃吸収性が高く、安全性が保持されるため鳶工、鉄骨工などでの使用が増えてきている。ただ、作業効率、装着の手間、値段の高さを難点と見る向きもあると言われていて、普及を図るうえでの課題となりそうだ。

 以上、災防計画に盛り込まれた新規施策の一端にふれたが、小欄では逐次、細目部分も含めた今後の実践・進捗状況に期待感を持って検視の目を向けていきたい。

掲載 : 安全スタッフ 平成25年4月1日第2183号

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