【道しるべ】OSHMS事例集 詳しい「現場ルポ」読んでみたい

2013.06.15 【社説】
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 自力・他力それぞれのかたちで労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)構築に至った例が厚生労働省から公表された。同システムの基本事項である経営トップの方針表明、目標設定、実践計画作成、実施・評価・改善についての取組み過程を20数社からヒヤリングし、その結果を事例集として取りまとめたものである。

 事例集編さんの主旨は中小規模事業場への普及推進にあるとされているが、現実的な理由としてはシステム構築に向けての体制整備、人と時間と経費の確保などを困難視し、費やすエネルギーも少なくないとみて敬遠する〝OSHMSアレルギー〟の払拭にあるようだ。労働者数50~300人未満の事業場であっても、現行活動との併合や外部支援の活用によってシステム導入に踏みきれることが、先進例を通じてアピールされている。

 モデルとして紹介されている3事業場には「自分たちの実力を少しずつ高めながら」取り組んだケースと、「主に外部専門家の指導・支援のもとで」システムの構築・運用を軌道に乗せた例とがあるが、導入の背景・経緯を見ると、従来からの管理の流れを基盤に徐々に新体制への移行を試みて功を奏している点で共通している。苦労したことには「社員相互の意思疎通」、「構築までの作業量の多さ」などが挙げられてはいるが、特に解決困難な問題に直面して云々との感想はない。

 事例集の別章には「システム指針」への対応事例が主要条項別に列記されていて、これが実務面での参考になる。例えば「ラインミーティングを基礎に置き、生情報を収集」(労働者の意見の反映)、「ヒヤリ・ハット報告に想定ヒヤリを採り入れ、リスクアセスメントの要素を持たせる」(危険性または有害性等の調査)、「安全衛生目標は出来る範囲のものとし、可能な限り数値化する」(目標の設定)、「KYK(危険予知活動)から上がってきた重大リスクを取り上げる」(計画の作成)、「継続で一番大切なのは工場長の旗振り。トップとの職場での会話は従業員に強いインパクトを与える」(計画の実施)――などはほんの一部だが、小事業場での試行も決して難しくはないだろう。

 ただ、本事例集はそれとして、OSHMSのさらなる普及を考えるならば、各事業場が取組みを進めたとき人と組織がどう動き、何を語り合い議論して現在にまでこぎつけたかをリアルに綴った〝現場からのルポ〟のようなものがあれば読んでみたい。関心を深めて実践面での効用も大きいのではないかと思う。

平成25年6月15日第2188号 掲載

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