【主張】法改正は十分な議論経て

2016.09.05 【社説】

 日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会の主要使用者団体の同一労働同一賃金制度に対する見解が出そろった。制度化を図るとしても、終身雇用、年功序列といった日本型雇用に適合した仕組みとすべきというのが一貫した考え方となっている。

 厚生労働省は、今後、官邸主導による働き方改革を加速化する意向で、同一労働同一賃金の実現もその大きな柱の一つと位置付けている。安倍総理が作成を指示しているガイドラインは、年内にも急いでまとめるとして、法的位置付けや効力を設定する関係法令の改正については、来年1年間掛けてじっくり検討し、日本の人事賃金システムに適合した仕組みを考え出す必要があろう。

 本紙は以前から、仮に同一労働同一賃金を導入するにしても、職務給制度が発達している欧州先進諸国の仕組みをイメージすべきではないと主張してきた(平成28年3月21日号本欄など)。日本型雇用慣行を理不尽に破壊しないバランスのとれた現実的法改正が必要と提案してきたもので、このほど出揃った使用者団体が示す方向性とほぼ同様と考えられる。

 つまり、個々の労働者の職務内容のほか、責任・期待の程度、今後の配置変更の範囲、転勤の見込みなど、諸事情を総合的に考慮したうえでの同一労働同一賃金の実現である。日本型雇用を前提としたガイドラインを作成し、不合理な格差を具体例を交えて分かりやすく解説してくれれば、中小企業にとっても受け入れやすい。

 ポイントは、企業横断型ではなく、個別企業型の同一労働同一賃金とすることである。経団連も「職務内容や仕事・役割・貢献度の発揮期待など、様ざまな要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価された場合に同じ賃金を払う」という考え方が基本としている。

 厚労省は、来春の労使交渉に向けて参考となるようガイドラインをできるだけ早く明らかにする必要がある。しかし、法的対応については公労使で十分検討し納得できる結論を出すべきである。

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掲載 : 労働新聞 平成28年9月5日第3079号2面

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