【主張】改正派遣法の怖さは3年後から

2012.05.28 【社説】
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 ギリシャに端を発した財政不安は、EU加盟各国の経済に壊滅的な打撃を与えているが、独りドイツだけは絶好調路線を歩んでいる。とりわけ、自動車産業は輸出の花形として競合するわが日本にも、その存在を警戒する声が高い。非正規労働力には、西欧各国は厳しい規制を敷いているが皮肉なことにドイツはこの規制をかいくぐって、有効戦力化したことが、多大に貢献している。各メーカーは非正規労働者に対し、60~70万円に達する異例の一時金を支払うなど反対給付で、わが国メーカーの度肝を抜いた。

 一方、わが国の非正規労働力活用は規制強化によって輸出型産業に大きなダメージを与えている。改正労働者派遣法もそのひとつだが、4月6日に公布、6カ月以内に施行される。与野党折衝によって製造業務・登録型派遣の削除など緩和されたものの、日雇派遣の原則禁止を始めとして厳しい内容、というのが産業界の見方。1000万人に上る年収200万円以下のワーキングプア救済が背景にあるため、最低限の譲歩だった。

 ただ、関心の高さは直ちに施行されるものに比べ、施行3年後に延期された「労働契約申込みみなし制度」の創設が圧倒している。この対象となるのは、派遣先が①建設業務や警備業務など対象外業務の受入れ②派遣元事業主以外からの受入れ③派遣可能期間を超えた受入れ④偽装請負などの違反行為を行った場合、その時点において対象となった派遣労働者に対し、労働契約の申込みをしたと「みなす」というもの。

 交付日に発出された通達(基発0406第1号)によると、労働契約申込みは「1年間撤回できない」(本紙5月14日付1面参照)。成立した以上自由経済下で脱法行為は断じて許されない。ただ、就労を拒んだ場合、厚生労働大臣による助言・指導・勧告に留まり、最悪でも企業名公表。これではコンプライアンスに努める企業には気の毒なほどのペナルティーだ。せめて過料(行政秩序罰)くらいは適用すべきと思うがどうか。改正法は塩漬け期間が長く、労働者の関心度も高い。脱法の反発はそれに比例しよう。

平成24年5月28日第2874号2面 掲載

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