【主張】安全週間を機に再出発へ

2016.07.05 【社説】

 7月1日から平成28年度全国安全週間がスタートした。

 同週間は、昭和3年から一度も中断することなく続けられ、今年で89回目を迎えたという。昭和36年のピーク時に6700人を超えていた死亡者数が、平成27年(972人)にはとうとう1000人を切るという節目に到達した。産業安全に携わる多くの先人らによるたゆまぬ努力と活動が実を結んだものであり、素直にこれを賞賛したい。

 しかし、今後の産業安全を取り巻く状況は決して楽観を許さない。近年の産業構造の変化、サービス経済化によってまた新たな取組み課題が浮上しているためだ。拡大を続ける第三次産業における安全対策に決定打が見出せないのが実態といっていい。

 今年の同週間スローガンは「見えますか?あなたのまわりの見えない危険みんなで見つける安全管理」である。第三次産業では、安全への意識が低くしかも経験の浅い労働者が多いことから、まずは身の回りの危険を察知する手助けから始める必要がある。第三次産業の職場にこうした「安全文化」が定着するまでどれほどの歳月を要するか分からないが、これまでと同様、先人らを見習って着実に歩みを進めていかなければならない。

 産業別の労働災害発生数(死傷者数)をみると、建設業と製造業で減少傾向にあるものの、第三次産業は5万2300人に上り、21年の4万3700人から拡大している。全体の死傷者数11万6300人の45%を占めており、今後の労災防止上の最大のネックである。

 政府が打ち出している第12次労働災害防止計画は、計画期間(25〜29年度)の最終年度までに死亡者数、死傷者数ともに15%減少させる目標となっているが、残念ながら残り1年半では、いずれも達成困難となってきた。死傷者数の減少を大きく阻んだのが第三次産業だった。

 労災はわが国産業の発展にとって大きなブレーキ要因である。災防計画の目標達成が困難になっても、当然手を緩めてはならない。同週間を契機に新たな意気込みをもって再スタートを切りたい。

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掲載 : 労働新聞 平成28年7月4日第3071号2面

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