【主張】重要性増す能力開発行政

2016.03.07 【社説】

 労働政策における職業能力開発行政の重要性が格段と高まっている。政府の日本再興戦略改訂2015において、「未来を支える人材力の強化」が国家的課題として浮上してきたためだ。わが国の経済基盤の大きな弱点である低労働生産性を一刻も早く克服するには、能開行政に力を尽くしてもらうほかない。平成28年度の関連予算要求額をみても今年度の140億円から249億円に激増しており、意気込みが伝わってくる。

 なかでも期待が大きいのは、官民が共同して取り組んでいる対人サービス分野を中心とした技能検定制度の開発であろう。同事業では、日本百貨店協会、日本フィットネス産業協会、全国学習塾協会、日本生産技能労務協会、ホテル業界検定協議会、日本添乗サービス協会、日本ブライダル文化振興協会、日本スポーツツーリズム推進機構の合計8業界を巻き込んだものとなっている。

 これまでの技能検定制度が、製造分野に偏っていたため、新たにサービス分野への普及を官民一体となって進めていく狙いがある。

 いうまでもなく、わが国の低労働生産性の最大の要因は、サービス業の遅れからきている。アメリカの労働生産性水準を1とすると、わが国の一般機械製造、化学、輸送用機器製造、金属製品製造などで、0.9〜1.2の水準にあり、なんとか競争力を保っているが、運輸・倉庫と卸売・小売がともに0.5程度、飲食・宿泊に至っては0.3に達していないのが実態だ。サービス分野の労働生産性向上が優先されなければならない証左である。

 26年度から着手した対人サービス技能検定事業は、上記のうち先行している4業界での制度化が間もなく終了し、28年度以降に試行実施の見込みとなっている。企業横断的で実態に適合した能力評価が可能となるほか、個別企業においては採用・人事の基準としても活用できる。

 労働生産性向上には、資本投入による資本装備率のアップが近道だが、中小・零細企業が多くを占める業界では困難が伴う。個々の労働者のレベルアップを起点としたい。

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掲載 : 労働新聞 平成28年3月7日第3055号2面

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