【ひのみやぐら】服薬のリスクを考える

2018.12.10 【社説】
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 近年、医療の進歩により「不治の病」といわれていた病気に関しても、生存率が格段に向上してきた。がんなどは「長くつきあう病気」に変わってきており、必ずしもり患したらすぐに退職しなければならないわけではなくなっている。もっとも、「治療と職業生活の両立支援」は、これからといったところで今後、労使双方の十分な理解や職場の支援体制整備が求められる。

 治療と職業生活の両立を考えていくうえで、課題として「服薬」が挙げられる。重い疾病になるほど、薬を飲まないわけにはいかなくなり、服薬によるリスクは避けては通れない。今号は、町田安全衛生リサーチの村木宏吉さんに「服薬による労働災害への影響」と題し、薬による就労への影響や労働災害との関連について指摘していただいた。村木さんは、服薬することで副作用などのリスクがある一方で「服薬しないリスク」を問題視。使用者責任が問われたケースを紹介している。

 ある会社で30歳半ばの男性労働者が重い糖尿病だったが、残業続きで通院できず、薬が切れたまま勤務していたところ、ある朝自宅の布団で冷たくなっていた。所轄労基署は長時間労働で労災認定するとともに、労基法違反で送検している。件の社長からすれば、私病で会社の責任が問われるのは納得いかないだろうが、長時間労働は明白。労働契約法第5条の「労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」という「必要な配慮」、すなわち「通院させる」ことを怠っていたといわざるを得なかった。

 法律は、疾病を抱えている人でも治療を続けながら生き生きと働ける社会づくりに寄っている。厳しい経営環境のなかでも労働者の健康確保に対する配慮を怠ってはならない時代へ変化したことを表した事例といえる。

 また、本稿では健康情報の取扱いについても取り上げており、服薬にまつわる問題は多岐にわたっていることが分かる。治療と職業生活の両立支援は緒に就いたばかり。服薬は具体的な課題としてあがってきたもので、関係機関の建設的な話し合いが今後、求められる。

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平成30年12月15日第2320号 掲載

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