【ひのみやぐら】がん知識のアップデートを

2022.10.27 【ひのみやぐら】
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 医療の進歩によってがんは治る、または長期に安定状態が期待できる病気になった。治療による体力低下やさまざまな体調不良はあるものの、会社が柔軟に対応することで、仕事への早期復帰や治療を続けながら働き続けることが可能になってきた。

 一方で、がんになったら「治療に専念しなければならない」「仕事を辞めなければならない」と考える人が少なくない。「長期間休まれるのは困る」とする経営者や管理者もおり、会社の意向を察した社員が自分から退職してしまうケースがよくみられる。これだけ情報が溢れる時代になっても「がんになったら辞めなければならない」と思う人は根強く残っている。

 一度頭にこびり付いたイメージはなかなか拭いきれないものだ。がんが不治の病でないことは、教育によって認識を改める必要がある。すでに中学校、高校では平成28年のがん対策基本法の改正により、がん教育が始まっている。保健体育の教科書には早期の治療や検診の重要性を示す内容が記載されており、機会があれば読んでみるのもいいだろう。

 つまり、近い将来社会で働く若者はがんの知識を持って就職先を探すことになる。最近の若者は、ステータスや賃金よりも自分の時間や生き方、納得のいく働き方を大切にする。人手不足が懸念されるなか、従業員の健康をサポートしないような会社は、見向きもされなくなるだろう。逆にいえば、健康経営などに積極的に取り組む会社は、高い社会的評価が得られ求職者へのアピールポイントにもなる。当然、在職者にとっても会社への信頼感が増し、働きやすい職場は生産性の向上につながっていく。優秀な人材の獲得や継続して働いてもらえる会社とするために、がんに対する知識をアップデートする必要があるというわけだ。

 なお、がん教育では管理職への研修を重視したい。実際に部下ががんになったときの対応や職場内に雰囲気づくりは、管理職のリーダーシップによるところが大きい。

 人口減少により働き手が少なくなっていくなか、従業員を大切に考えない会社は生き残ることはできない。

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2022年11月1日第2413号 掲載

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