【ひのみやぐら】「攻め」の安全衛生管理に期待

2022.12.26 【ひのみやぐら】
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 コロナ禍も4年目になろうとする令和5年。感染対策に振り回されるなかでの安全衛生活動も、研修会や安全衛生パトロールなど人の集まる取組みに緩和の動きがみられるようになり、再び活性化を取り戻しつつある。本格的な終息は当面先になりそうだが、今年こそは積極的な対策を打ち出していきたい。

 わが国の現状をみると「転倒」や「動作の反動、無理な動作」が原因となる腰痛など作業行動に起因する労働災害が全体の4割を占める。高齢化はますます進み、60歳以上の死傷者が増加。高年齢労働者へ向けた対策は、急務となっている。このほかにも、第三次産業での労災増加、多様な働き方への対応や外国人労働者の増加など課題は山積みになっているが、「高齢者の転倒防止対策」が今後の「一丁目一番地」であることは間違いないだろう。

 来年度は、第14次労働災害防止対策の初年度となる。すでに厚生労働省労働政策審議会安全衛生分科会で14次防の骨格は明らかになっており、興味深い動きが見られる(令和4年11月1日号ニュース欄既報)。

 特に、弊誌が注目しているのは、意識啓発に関する施策だ。安全衛生に取り組む企業が社会的に評価され、主体的に推進していくための環境整備づくりを行うこととしている。安全衛生は企業経営のなかでも、「業績」「品質向上」「顧客対応」「環境問題」などと比べ優先順位が高いとはいえないテーマであった。労働災害は経営の基盤を揺るがしかねないといわれていても、「攻め」より「守り」の姿勢である印象が強い。

 14次防では安全衛生に対する社会的なステータスを高め、経営的にメリットとなる仕組みとすることで、事業者にとってプラスに働くようにしていくという。具体的には、健康経営やSDGsとの連携が考えられており、今後の詳報を待ちたい。

 作業行動に起因する労働災害防止で重要なのは、一人ひとりが意識を高く持つことだ。企業が積極的に取り組むようにならなければ、労働者の意識が高まらないのは当然といえよう。今度は「攻め」としての安全を期待したい。

2023年1月1日第2417号 掲載

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