【ひのみやぐら】運転者の健康管理に本腰を

2022.01.27 【ひのみやぐら】
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 エッセンシャルワーカーという言葉がコロナ禍で注目を浴びるようになった。直訳すると、必要不可欠な労働者といい社会基盤を支える仕事に就く人をいう。医療・福祉をはじめ保育、小売業が含まれ、運輸、物流もご多分にもれない。

 生活を守る大切な仕事として敬意を表した言葉だが、どの業種も現実は問題が少なくない。特に運輸、物流など自動車運転の仕事は、課題が山積みといえる。トラック運送業界でいえば、長時間労働、低賃金、ドライバー不足、高齢化などが挙げられ、なかでも交通労働災害防止は最重要テーマといってよい。

 道路上の交通事故には、さまざまな背後要因があるが、ドライバーの健康状態に起因する問題が近年、増えているという。長時間労働による過労や高齢化が背景にあり、官民挙げて運転中の疾病発症リスクを抑える取組みに力を入れているところだ。国土交通省では「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」を作成しており、具体的な対策を示している。まず、大切なのは定期健康診断の実施と診断結果の把握だろう。異常の所見が見られた場合には、医師から運転者の乗務に係る意見(乗務の可否、乗務の際の配慮事項)の聴取が必要になるなどと示している。

 乗務前点呼における乗務中止の判断目安も分かりやすく紹介しており、「息切れ、呼吸がしにくい」「言語の障害が生じる」などの事項に該当する場合には、直ちに乗務中止し、医師に受診させるとした。また、睡眠計や携帯型血糖値計などの機器も有効に組み合わせ、必要な対策を実施するよう求めている。今号特集Ⅱでは、一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会のワーキンググループで行っている運転者の健康管理の取組みを紹介した。中日臨海バスの脳ドック費用の会社負担などの事例は参考になる。

 交通事故は、ドライバー本人だけでなく、周囲の車両や歩行者も巻き込むことがある。ただ歩いていただけの人に被害が及んでしまうと、厳しい法的、社会的制裁により会社存続にまで影響する。ドライバーの健康管理は、経営上の最優先課題といえる。

2022年2月1日第2395号 掲載

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