【ひのみやぐら】中小企業の利点を生かす

2018.06.11 【ひのみやぐら】
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 労働災害のほとんどが、中小企業で起きているといっても過言ではない。大企業と比べると、資金面や時間的に余裕がなく、安全衛生管理面で差が生まれてしまうのはやむを得ないだろう。都道府県労働局や労働基準監督署では、機会を捉えて中小企業のサポートを行っているところだが、労働災害防止団体や業界団体への加盟を見送っている企業も少なくなく、情報入手や人材育成、なにより相互研さんによる安全意識の醸成といった面で立ち遅れていると言わざるを得ない。

 冒頭から少々悲観的な材料ばかり列挙してしまったが、一方で厳しい状況のなかでも、安全衛生活動に力を入れている事業場は確実に存在する。取材の経験上、いずれも中小企業ならではの特性を十分に生かし、労働災害防止を図っている。共通してうかがい知ることができるのは、経営トップが安全衛生の重要性を理解し、実践していることだ。

 中小企業の特徴は、人数が少ないことにある。当然、従業員にトップの意思が伝わりやすく、電流のとおりがよい。決して〝雲の上の人〟ではなく、その意思は透明度が高く、影響力も直接的といえる。トップの熱意は従業員のフットワークをよくする効果もあり、労働災害防止対策を推し進める原動力となる。

 中小企業の場合、トップの目が従業員一人ひとりに行き届くのも、大きなアドバンテージといえる。従業員の作業状況や個々人の安全衛生レベルを把握し直接、指示や指導をすることができる。

 従業員が体調を崩して調子が悪そうにしていたら、容易に声をかけられる環境なのも強み。意外と部下はトップや上司に声をかけられるのを待っているものなのだ。優れたトップはこのあたりの機微をよく心得ている。距離の近さは、メンタルヘルス面に有利なのはいうまでもない。

 また、社員の提案や職場の不平不満について、フィルターを通さず聞くことができるのも、中小企業ならではのメリットとして挙げられる。

 安全で健康的な職場を実現しているトップは常に「何でもものがいえる環境」を心がけている。そのへんは〝人間通〟を感じざるを得ない。

平成30年6月15日第2308号 掲載

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