【道しるべ】新入者教育 「なぜ…だから~」を具体的に

2013.03.01 【ひのみやぐら】
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 安全衛生担当スタッフの業務に、新入社員教育への準備が加わってくる時期である。教材、資料の見直し・整理、職場状況に見合った重点教育事項の設定、教え方の再検討など、手がけるべきことがらは多々ある。

 決まり文句のようになるが、対象者のほとんどは労働災害とか産業安全衛生とかを初めて見聞きするずぶの素人。「いったん身につけた仕事のやり方や安全衛生の躾(しつけ)などは後になって変えることが難しく、将来にわたってつづくもの」とも言われている。たとえ教える内容に大差がなかろうと、紋切り型の言葉づかいでのワンパターン教育では伝えるべきことも伝わらない。

 かといって、熱の入り過ぎもよろしくない。「新人に難しいことを言い聞かせても効果がない」、「のっけから災害の恐怖感を伝えるやり方は女性や神経質な人間には禁物」、「聴く側の能力に応じた教材が必要。理解できない教材は無意味」、「教える側の一方通行的な話に終始しない」等々、これまでにも指摘されていて忘れてならない〝タブー〟がけっこうある。

 聴き手に悪印象を残す典型には「専門用語が多すぎる」、「こと細かで熱心なのは分かるが覚えきれない」といったものがあるが、それに気付かず「教えたはず、聞いたはず、知っているはず、出来るはず」とされたのでは、新人諸君もたまらないだろう。その種の自己満足的な教育が、かえって安全への動機付けや関心の芽を摘み、被災要因となっている例も少なからずあるのだ。

 それやこれやを考えると〝素人への教育〟は想像以上に難しく思えてくるが、何はともあれ安全に関わる基本的な知識・意識を収めてもらおうとするなら、ポイントを絞り、理由付けを分かりやすく説明する必要があろう。例えば災害防止のためのルール順守、あるいは日常活動の実行を語るにしても「なぜ、そうなのか」、「だから、こうする・こうすべき」と具体的に教え聞かせて納得させる――。きょうびの若者には問答無用の「決まりは、決まり!」だけでは通用しないところがあるし、教育効果も得にくい。

 これも常套語だが「鉄は熱いうちに打て」という。ただ、人間教育の場合、鍛える相手を見ながらの工夫と加減がなければ粗製乱造となりかねない。作業に関する技術教習と違って、安全衛生の初期指導では心理・精神面の話も交じえながら〝当たり前レベル〟のことを分かってもらおうとする。これが簡単なようで容易でない。まだ怖いもの知らずの新人をその気にさせるには「なぜ……か、だから~」を繰り返しながら焦らず、苛立たずの構えでいくしかない。

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平成25年3月1日第2181号 掲載

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