【道しるべ】復興ゼロ災 今こそ安全への〝底力〟を

2013.01.01 【社説】
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 年始に想い願うことは人さまざまとしても、災厄なしの平穏無事を祈る気持ちは誰しもだろう。それがまずあって各々心中に期する物事の成就とか、なにがしかのご利益あわよくばの射幸とかを望んだりする。正月はまさに、しばし夢見にひたるとき、とでも言おうか。

 しかし一方には、旧年来の気懸りが残りこころ楽しまぬ人もいて、明暗入りまじった新年模様を映し見せるのだが、近ごろの世相・出来事のあれこれを振り返れば、後者こそが多くの現実かと思える。

 小欄がこの年も専らとする「働く人の安全と健康」においても、あるべき姿を祈念しつつも、醒めた眼で直視せざるを得ない状況が少なからずある。その諸々のなかから、あえて1つに絞って取り上げるとすれば、やはり東日本大震災被災地(とりわけ東北三県での)復旧・復興工事における安全確保だろう。

 周知のように同工事では、建設作業経験が少ないか全くない素人同然の新規参入者、あるいは他地方からの応援業者が人手不足を補うという状況下で工事が進められている。そうした施工事情は、災害防止・安全衛生対策や共同作業時の連携のあり方など現場管理体制に従来にない課題を生じさせた。実際、その不備を衝いたような災害も多数発生している。

 建設業労働災害防止協会が新規参入者用の教材として昨年末に作成した「災害事例集」によると、平成24年1月~9月に発生した復旧・復興に関する労働災害(建設業)の総計は149件。このうちの8件が墜落・転落、挟まれ・巻き込まれ、激突されによる死亡災害となっている。

 事例集で紹介されている主な死傷病としては、ガレキ処理中の鎖骨骨折・頸部捻挫、荷降ろし作業での足骨折、転倒しての顔面裂創、マンホール内での硫化水素中毒、脚立の目的外使用での墜落・手首骨折、電動工具による膝裂挫創などがあるが、大半は作業手順外の安全軽視による不安全行動や保護具不使用が直接・間接の原因となっている。

 こうした〝安全が意識の外に置かれた状態〟での被災を防ぐべく、工事関係者は現在、現場に対する教育・指導の改善と徹底に力を注いでいる。また、宮城県では労働局・建設業団体・災害防止団体・発注機関・元方事業者が一丸となっての「みやぎ復旧・復興工事ゼロ災害運動」を開始した。運動は平成27年の3月末まで展開されるが、今後の本格的復興に伴う工事量の増加が運動の高まりと浸透に寄せる期待は大で、小欄からもそれに応えての関係者の〝底力〟発揮を切に願うところである。

平成25年1月1日第2177号 掲載

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