【道しるべ】冬季へのKY 特有の危険性には早期対応を

2013.11.01 【社説】

 ほんの少し前まで盛夏もどきの日があったりしたのだから、冬への備えと言ってもピンとこない向きが多いかもしれない。が、昨今の奇妙な気象状況からすれば、いきなり寒気に見舞われるような急変現象がないとも限らない。カレンダーはすでに11月である。少々早手回しの感がなきにしもあらずだが、ここでは冬季災害への危険予知に思いを巡らしてみたい。

 冬場の事故災害といえば、寒さで身体が委縮し動作・感覚が鈍っての被災がある。厳しい冷気がもたらす作業環境悪化での災害も目立つ。端的な例が屋外での作業が主の建設現場だろう。足元の凍結が原因での転倒、転落。早朝の冷え込みによって鉄骨梁などが凍りつき、足を滑らせて墜落するケースも後を絶たないという。季節風(強い西風)が吹き荒れて移動式クレーンが倒壊するとか、足場板があおられて飛来・落下し第三者にまで被害を及ぼしてしまう事故も例年のように発生している。また、通気性が十分でない場所で暖を採るときや、コンクリートなどの乾燥時に生じるCO(一酸化炭素)による中毒も怖い災害としてある。火の不始末による火災も同様である。

 健康面となると、こちらは業種を問わず細心の注意が求められる。ご存知のように、脳卒中(脳出血、クモ膜下出血、脳血栓)は急激な温度の変化がもたらすもので、高血圧の人などは朝の通勤時に(暖房のきいた)バスや電車から降りたときに発症する。長時間、冷たい風にさらされたりしていると血管に障害が生じ、急性心不全を誘発する可能性が高まるという。体力が低下していると引きがちな風邪にしても、軽く考えていると肺炎などの合併症を起こしかねない。

 冬の気候は、メンタル面にも変調をきたさせることがある。あまり知られていないが、秋口から春先にかけ冬季うつ病(季節性気分障害)に苦しむ人が結構いるのだとか。日照時間が短くなること、日光に当たる時間が少なくなることと関係しているらしく「倦怠感・イライラ感がつのり、集中力も減退して慣れた仕事もこなせなくなる」というから、無意識に不安全な行動をとっている場合だってあるだろう。

 過去の経験などから事前に予測しておかなければならない冬季に特有な危険要因は他にも数多くある。そのほとんどについては、防止対策が厚生労働省のガイドラインなどに明記されていて先刻承知のはずだが、前もっての措置を用意しないままの場当たり的な対処では遅きに失することになる。寒さが実感できないうちからの対策検討には気乗り薄になる面があるにしても、である。

掲載 : 安全スタッフ 平成25年11月1日第2197号

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