【道しるべ】3次災害防止 作業者に応じた教育の徹底を

2011.07.01 【ひのみやぐら】
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 震災復旧・復興工事が急がれるなかで、安全に注意の傾かない施工が懸念されている。工事の広域化・大規模化に伴い建設作業に不慣れな異業種労働者あるいはボランティアの参入が増え、事故災害に対する警戒心や知識の不足から死傷するケースが多発しかねないというのである。実際、復旧に着手して以後、4月末までの間に120件もの労働災害があり、死亡者も7人を数えている。

 建設業界ではその種の事態(3次災害)に対処すべく、大手・中小地場ゼネコン、専門工事業者、災防団体で構成するプロジェクトチーム「東日本大震災復旧・復興工事安全推進本部」を設置し、個別企業の枠組みにとらわれない安全対策(地域単位の協議体制の確立、新規参入者等への教育推進と中小事業者支援、工事状況に応じた適切な施工・作業計画の作成)についての検討に入っている(ニュース欄参照)。

 輻輳した各種工事に合わせての対策は“すきま”なく推し進めることとされているが、課題のうちでも作業者のレベルに応じた教育・指導は、急を要して遅滞があってはならないだろう。がれき処理、上下水道工事、ビル解体(新築)、工場再建、住宅建築のいずれをとっても経験の乏しい作業者の場合、本人が考えもしなかった負傷に遭遇する可能性が高い。また本職の建設作業員であっても、平時と異なる環境下での労働には、未体験もしくは不案内な面が多くあるはずである。「ロープで部材を荷揚げしていたとき結び目が解け作業者に部材が落下」、「廃棄物集積場で盛土を乗り越えようとしてブルドーザーの運転席から投げ出され下敷きになる」などの死亡災害事例からそれが窺える。

 予測される災害としては、建設機械との接触、脚立・梯子からの転落、開口部への墜落、釘などの踏みぬき、がれき中の劇毒物との接触、飛散・落下物による負傷――等々が考えられるが、作業者にそれなりの安全教育と保護具などによる備えを用意しなければ、被災防止は期し難い。

平成23年7月1日第2141号 掲載

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