【ひのみやぐら】死亡災害急増へ対策強化を

2017.10.11 【社説】

 死亡災害が急増している。平成29年労働災害発生状況(1~8月速報値)では、死亡者数が対前年比で49人も増え、休業4日以上の死傷者数は対前年比600人増加した。とくに建設業は深刻で、死亡者が31人も増えている。事態を憂慮した厚生労働省では、業界団体などに死亡災害撲滅に向けた緊急要請を行った。

 建設業の労働災害増加は、東京労働局管内では由々しき問題となっており、このほど「建設業労働災害防止決起大会」を開催した。五輪開催まで3年を切り、今後、大会関連施設の工事が本格化してくる。工事量が今後ますます増加していくことから、関係者が一丸となって労働災害防止の決意を固めた。

 死亡災害増加の背景としては「下請事業場の職長の役割が不十分」「元請事業場および下請事業場を含めた現場職員の危険感受性の低下」「元請事業場と下請事業場、下請事業場相互間の連絡調整が不十分」と同労働局では分析している。東日本大震災後の復旧復興工事とそれに伴う国土強靭化で建設需要が高まった。このため、建設業では少子高齢化も相まって、未曾有の人手不足に陥っている。「職長の役割が不十分」という問題の背景には、こうした人手不足、人材不足がある。経験年数の浅い者でも、早々と職長を任され、現場を指示する立場となる。仕事に不慣れな職長に、連絡調整など業務に心もとない面があるのは否めない。

 また、建設需要の高まりから、他産業からの入職者が増えている実態がある。建設業で働いたことのない者が、危険の多い現場に入るのだ。危険感受性の乏しい労働者が増えているということであり、警戒を怠ることができない現状が続いている。決起大会では、依然として死亡災害のうち、現場入場1週間以内が45%を占めていると報告し、現場に不慣れな者への注意を促した。職長の能力向上教育の実施、リスクアセスメントの強化、災害原因・再発防止対策について関係請負人を含めた労働者全員の周知も決起大会で要請している。

 東京都内の建設工事は、今後、最盛期を迎える。死亡災害撲滅へ安全対策の強化は待ったなしの状態だ。

ジャンル:
掲載 : 安全スタッフ 平成29年10月15日第2292号

あわせて読みたい

ページトップ