【ひのみやぐら】「一声かけ」の大切さ

2019.03.26 【社説】
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 建設現場には、いろいろな業種の専門工事会社がやってくる。期間も会社によって長短あり、作業員が現場にいる間はさまざまな人と出会ったり、すれ違ったりする。同じ現場で働いていたとしても、顔をまともに覚えることなく、次の仕事場に移ってしまうことも少なくない。大規模な現場ならなおさらだ。このような状況では、挨拶を交わすどころか、不安全行動を見つけたときの注意も難しい。

 挨拶や声をかけ合うには、意識して行う必要がある。建設現場で、音頭を取る役目を担っているのは職長会だ。多くは「一声かけ運動」と呼び、重要な安全衛生活動に位置付けて実施している。

 一声かけ運動の目的の第一はいわずもがな災害防止だ。他業種、他の会社の人でも不安全行動や安全設備の不備を見かけたら、すぐさま注意することで、相手を危険から救うことができる。注意だけが狙いではなく、前向きな声かけもある。「今日も元気でがんばろう」「お疲れ様」といった言葉は、相手を思いやる気持ちが生まれ、活力にもつながっていく。自然とコミュニケーションをとることで、注意し合える仲となり、結果、災害を未然に防ぐことになる。

 近年は、名前で呼び合う一声かけ運動を取り入れている現場が少なくない。ヘルメットの前後に、名前を間違わないように平仮名で記入してシールを貼っており「○○さん、あぶないよ!」「○○さん、おはよう」などと呼び合うこととしている。名前を呼ばれると不思議と親近感がわくものだ。挨拶や指示をきちんと受け止めようという気持ちになっていく。

 一声かけ運動を積極的に進めている現場でよく聞くのは、工程や品質にもよい影響を与えているということだ。今号、特集1で紹介する横浜市市庁舎移転新築工事の現場では「連携が取れることで手戻りがなくなり、作業性が向上した」という。災害防止に向け、現場の雰囲気がひとつの方向にまとまった結果、生産にもよい効果をもたらしたという実態が想像に難くない。

 たかが「一声」と侮ることなかれ。効果は絶大。

平成31年4月1日第2327号 掲載

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