【今週の労務書】『外国人労働者に関する重要労働判例と今後の展望』
2025.08.23
【書評】
待遇差の留意点等示す
学者と弁護士の計4人が、労働基準法と入管法両方の観点から、裁判例を子細に検討しつつ解説し、紛争の予防や解決にとって留意すべき点を明らかにした。労働条件にまつわるトピックのほか、技能実習生の在留資格変更手続き関係や不法就労助長罪などにも触れている。
たとえば労働条件関係では、外国人労働者の報酬について、入管法は、同等の業務に従事する日本人労働者と同等水準以上を求める同等報酬基準を定めている。技能の程度などは加味される一方、在留資格の範囲内でしか就労が認められないため、職務の変更の範囲など人材活用の仕組みの違いは考慮されない。加えて、その他の待遇についても、パート・有期法8条の均衡待遇に抵触しないことが求められるとした。
(山川 隆一 編著、第一法規 刊、税込5280円、TEL:0120-203-694)
令和7年8月25日第3510号16面 掲載