【今週の労務書】『職務給の法的論点』
2021.10.02
【書評】
要点・リスク読み解く
弁護士と人事コンサルタントが組んで執筆した本書は、職務給にまつわる法的なポイント、リスクをQ&A形式で紹介している。実際に法廷で争われたケースがまだまだ限られていることもあり、賃金に関する諸判例などを参照し、押さえておくべき実務を読み解いていく。
不利益変更を伴う旧制度からの移行手続きについて解説するのはもちろん、職務記述書が労働条件合意書としても機能し得るなどとし、制度運用にかかわる諸事項までフォローした。諸手当などの法的な位置付けにも触れており、他の制度を採用する際にも活用できる。他方で本書が想定している職務等級制度はハードルが高いもので、厳密な職務分析と職務評価を前提にした見解である点は、肝に銘じておく必要があるだろう。
(久保原和也、西村聡共編著、日本法令刊、TEL:03-6858-6966、税込み2970円)
令和3年10月4日第3323号16面 掲載