【今週の労務書】『高齢者雇用の実務 実践Q&A』
2025.06.28
【書評】
認知症問題にも触れる
法令や安全衛生・健康管理、認知症問題と幅広く高齢者雇用問題を解説したのが本書である。高齢の就労者が多く、早くから問題が顕在化しているビルメンテナンス業に携わってきた執筆事務所の所長は、今後同じ問題に直面するであろう他産業の参考にと上梓したという。
たとえば認知症問題では、疑いがある場合に受診を命じる際、判例などに照らせば就業規則の根拠などを理由に受診命令は可能としつつ、健康に関する個人情報を入手するための受診勧奨になるため、趣旨を説明し理解・納得してもらったうえで勧めるのが良いとした。退職の合意を得る際は、厚生労働省の意思決定支援のガイドラインを参考に、本人の意思決定能力を評価し、適切な手順を踏むのが重要と強調している。
(森井労働法務事務所 編、青林書院 刊、税込3960円、TEL:03-3815-5897)
令和7年7月7日第3503号16面 掲載